基礎から学ぶeCTD【第6回】

はじめに
 これまで5回にわたり、新医薬品の承認申請資料の提出形式であるeCTDについて解説した。eCTD形式による申請は2020年4月から義務化されたが、同時に提出が義務化された新医薬品の承認申請資料として、申請電子データ提出がある。GMP Platformの読者の多くは、申請電子データ提出について馴染みがないと思われるので、簡単に説明すると、医薬品の製造販売承認申請時に承認申請資料に含まれる臨床試験の電子データを提出することである。この承認申請資料に含まれる臨床試験の電子データ提出は、FDAでは以前から求められており、FDAは、臨床試験以外にも非臨床試験の一部のデータ提出を義務化し、安定性試験のデータについても検討している。
 今回は、申請電子データ提出の背景、規制の概要について解説する。

1.    申請電子データ提出の背景
 申請電子データ提出は、2013年6月に閣議決定された日本再興戦略のなかで謳われたPMDAの強化に遡ることができる。これを受けて次世代審査・相談体制準備室が設置され、業界と申請電子データ提出に関する意見交換が開始された。同年9月に開催されたPMDAの次世代審査・相談体制に関する説明会で、2013年6月の「健康・医療戦略」において、PMDAが臨床データ等を活用した解析や研究を進め、審査・相談において、より合理的で効率的な評価・判断プロセスの構築を進めることとされ、医薬品の有効性・安全性の予測向上や疾患モデルの構築のために臨床試験の電子データ提出を求めるに至ったとの説明があった。予測向上やモデル構築は、Modeling & Simulation等を活用したModel-based Drug Development(MBDD)といわれる医薬品開発の新しい手法であり、FDAではCritical Path Initiativeで積極的に利用している。具体的には、数学的なモデル(modeling)で薬効と臨床データのPK/PDを予測(simulation)するもので、対象分野としては、用量の妥当性・小児の投与量、剤形評価、薬効・副作用評価などがある。前述の説明会では、PMDAもModeling & Simulationを活用していくとのことで、そのためにはPMDAが独自に解析するために申請データが必要とのことであった。
 PMDAの次世代審査・相談体制について(申請電子データ提出)のホームページでは、データ提出・利用のイメージを次のように示している。
 

 

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