私たちの身の回りの微生物【第2回】
私たちの身の回りの微生物 ~ピンクヌメリの発生要因と有効な退治法~
1.ピンクヌメリの発生要因と水回り環境との関連性
有効なピンクヌメリ退治法を考えるにあたり、その発生要因と水回り環境を関係付けて整理することは重要である(図1)。発生要因は温度・栄養・水分・酸素・pHなどであるが、ことさら水回り環境に限ってはpHと酸素はほぼ固定化された要因と考えて良い。pHについては、強力な薬剤を意図的に使用しない限りは極端なアルカリ性や酸性となる状況は考え難いため、必然的に中性付近の状態や環境になる。酸素については、多くの場所は好気的と考えるのが妥当だろう。従って、温度・栄養・水分の要因(以降、3要因と呼ぶ)に着目して話を整理することになる。
水回り環境における3要因は、ピンクヌメリの発生に適した範囲に収まりやすい。まず温度に関しては、生活環境の一部であるため必然的に15~30℃程度の範囲に収まる(冬時期を除く)。栄養に関しては、浴室では人の皮脂や垢、キッチンでは食材や食品、便器では糞便や尿などに含まれる糖、タンパク質や脂質などが発生することが大きく、その種類や量などは生活者のライフスタイルによって変動する。水分に関しても同様であり、湿度の高さよりも水分そのもの(水滴)の発生に依存するが、その発生量や存在時間などは生活者のライフスタイルによって様々である。
2.3要因に着目したピンクヌメリ退治法
この退治法は、3要因のうち1要因でもピンクヌメリの発生に適さない状態や環境を作り出すことができれば、その度合いに応じて発生量や発生頻度を大きく低減できる1)。さらには多くの人が家庭内で習慣的かつ経験的に行っており、斬新な方法ではないもののうまく行うことで退治に要する日々の労力を減らし、効率化できる方法であると考えている。
3.温度に着目したピンクヌメリ退治法
ここでのアプローチは、(1)高温処理 (2)低温処理 の2種類に分けられる。(1)については60℃以上のお湯をかけることである。確実にメチロバクテリウムやロドトルラを殺菌する効果はあるものの、その死骸の多くが残存するため、ピンク色もそのまま残存する。結局はその後の掃除が必要となる。また、お湯を作るのに電気やガスなどのエネルギーが必要となる、浴室などの樹脂素材に対してかける場合は材質が劣化する、お湯を取り扱う本人が火傷する懸念が生じるなどデメリットが多い。また、(2)についても水回り空間を4~10℃に常時冷却するためには多くのエネルギーを要するため、現実的な手段とは言えない。このように何かとデメリットが多いアプローチであるため、あまりお薦めできない。
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