医薬品開発における非臨床試験から一言【第79回】
非臨床試験の総括・規制要件に挑戦
創薬では新しい市場創造ができ、革新的で有用性の高い優れた医薬品を、いち早くかつ継続的に提供することを目指します。革新的な分子標的薬が世の中をにぎわし、高分子で高価な新薬が創出されています。同様の薬効を示す高分子ではない医薬品を研究するチームもあります。グローバル展開では、疾病に苦しむ世界中の患者さんに医薬品を提供することが大切で、エイズの薬、結核の薬のように、文明社会のみならず世界中に余すことなく行き渡らせるのが医薬品開発のゴールです。
世界の医薬品は三極(米国、EU、日本)を中心に製薬産業が切磋琢磨しており、規制当局と産業界の合計6団体がICH(日米EU医薬品規制調和国際会議)の中心となって、医薬品評価の共通基盤を形成し、安全で有効な新薬をたゆまなく創り出してきました。医薬品は、もの(化合物)が発見され、毒性/薬物動態研究と臨床研究から安全性が評価され、非臨床/臨床研究の有効性評価が合わさって、最大限に有効性を発揮できる製剤となります。
完成した新薬は、規制要件に従って作成された情報により承認審査を受けます。そして価値に見合った価格で市場に供給され、利益が明日の創薬の促進に繋がっています。日本での承認審査はPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構;Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)が担当し、医薬品や医療機器などの品質、有効性および安全性について、治験前から承認までを一貫した体制で指導・審査し、市販後における安全性に関する情報の収集、分析、提供を行っています。
PMDAは薬事法を中心として示された指針に従って創薬を推進します。基本となる指針は規制当局が独自に作成するのではなく、製薬産業と協議の上で提示されます。基本的には、創薬における課題を抽出して、日本では、国立衛研・PMDAの代表者と日薬連(日本製薬団体連合会)の業態別団体の代表者、例えば製薬協(日本製薬工業協会)が協議して規制指針案を作成し厚生労働省に示す等の過程を経ています。
規制要件作成について、薬物相互作用(Drug-Drug Interaction:DDI)試験に関連する事例を示します。実験動物に経口剤を反復投与すると、血中濃度は定常状態を示し有効性が維持されます。長期投与により血中濃度が低下して有効性が減少する場合があります。これは薬物代謝酵素の誘導が原因で薬物の代謝/消失が促進されたと考えられ、当該の投与薬のみならず、同じ代謝酵素が関係する併用薬にもDDIを与えます。
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