封じ込め周辺情報あれこれ【第2回】
第2回 『封じ込め周辺情報あれこれ ~抗がん剤の社会的貢献』
高薬理活性医薬品が普及することにより、治療効果に寄与している点、患者のQuality of Life (QoL)向上に貢献している点を見てみよう。
高薬理活性医薬品が必要とされる背景には、服用による副作用を軽減し、患者のQoLを高めようとする点がある。例えば、初期の抗がん剤は、がん化している細胞組織だけではなく、正常な細胞組織をも攻撃するものであった。この結果、脱毛、吐き気などの副作用がでていた。がん細胞だけを狙い撃ちできる薬があれば、正常な細胞に与える影響を最小限にすることができ、副作用も軽減される。さらには、服用量を少なくするという点も期待できる。固形錠剤だとよくわかるが、毎日の服用量が大きいと利用者の負担が結構大きい。とくに、高齢者では飲み込みにくいという方が多くいる。薬効を高めて、必要用量を少なくすればこの負担が減る。
低分子医薬品を例にとると、薬理活性を高めるためには化学物質の構造の一部を別の物質に代えたり、構造自体を変えたりすることになる。このような化学物質(医薬原料)は製造が難しいために、製造方法を変えるなどしなければならない。このために、一般に高価となり、高付加価値製品となる。
抗がん剤などの高付加価値製品を志向しようとした背景には、2010年前後に話題になっていた特許切れの問題があるとされる。多くの大手製薬企業において、それまで収益に寄与していた製品はいわゆる生活習慣病に対するもので、高血圧症や高脂血症などを対象とする医薬品であった。2010年前後に、各社から市場にでていた製品の特許が切れることが続き、製薬企業は次の製品を求めて需要を掘り起こした。その際に、取り上げられたのが抗がん剤であった。
2010年以前にも、抗がん剤は用いられていたが、副作用が大きいのが欠点であり、治療効果の点でも不十分であった。以降抗がん剤の技術開発が進められ、治療効果も改善されていくようになり、社会貢献につながった。
その治療効果が改善されていく推移について紹介する。
ヒューマンサイエンス振興財団では、がんを含む60の疾患に対する医薬品について、治療満足度および薬剤貢献度の2つの視点から、1994年度、2000年度、2005年度、2010年度、2014年度、2019年度にわたり、継続的にポジショニングを分析してきていた(なお、同財団は2021年に解散され、それ以降のデータはない)1,2)。
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