効率的・効果的なGMP監査を目指して【第2回】
第2回 GMP監査マニュアルとは
1.作成の背景
2020年に発生した不正製造問題による健康被害の発生、更に、2021年8月に改正されたGMP省令施行後にもGMP違反による行政処分を受ける企業が多発された。これらの問題は、根本的には製造業者に起因するものであるが、製造業者の管理監督責任を有する製造販売業者が実施しているGMP監査が製造業者のGMP管理体制の把握と改善に十分に寄与できていないことにも起因している。また、GMP監査での過剰な要求や適切とは言えない指導等により、反って、GMP監査が製造業者の品質保証体制の改善に繋がっていないケースも確認されている。このような状況を受けて、厚労科研究班(代表研究者:東京理科大学櫻井教授)が急遽、「GQP省令で求められている製造販売業者の製造業者に対するGMP監査マニュアル」の作成に着手し、製造販売業者が製造業者に対するGMP監査を効果的かつ効率的なものとし、GMP監査が製造業者の品質保証向上に繋がるようにするための一助としてGMP監査マニュアルを研究成果物として作成した。その後、研究成果物について厚労省等の行政の確認を受けて、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課発の事務連絡(2023年9月)としてGMP監査マニュアルが発出された。

2.GMP監査マニュアルの概要
GMP監査マニュアル(以下、本マニュアル)は、薬機法・GQP省令・GMP省令等の内容を踏まえ、国際的なマネジメントシステム監査に関する指針であるISO 19011:2018(JIS Q19011:2019)も参考にして、GQP省令第10条等に基づいて製造販売業者が製造業者等(以下、製造所)に対して実施するGMP監査(以下、監査)を適切、かつ、効果的に実施することによって製造所のGMP体制及びPQS運営の継続的な改善を図らせ、また、製造販売業者の監査体制を継続的に改善できるようにすることを目的として作成された研究資料である。
2.1 本マニュアルの構成
本マニュアルは、監査の事前段階、監査計画、監査の実施、改善指示・製造所評価、監査レビュー・体制改善で構成されている。また、監査を行うにあたっての参考となる資料として、別添資料と参考様式が作成されている。
別添1は、GMP省令項目に関する監査の視点であり、GMP省令の条項毎の確認項目・意図・監査員の行動、所謂、監査でのノウハウとなる確認事項や要点を列挙した資料であり、監査員の教育資料としても有用と考えられる。別添2は、監査の実施計画・監査の評価表であり、製造所ごとの監査情報を適切に記録・保存し、製造販売業者の知識として管理するためのツールにもなる。また、参考様式として、監査関連の報告書等の様式も添付されている。
2.2 別添1について
別添1は、監査経験が豊富な日薬連品質委員が作成した資料であるが、複数のチームに分かれて作成したパートを合体させたため、パート毎で記載事項の粒度・深さ・切り口等が少し異なっている印象がある。また、極一部ではあるが、必ずしも必要とは言えない事項や厳し過ぎる事項が含まれているのではと考えている。そのため、別添1をそのまま監査ツールとして使用するのではなく、監査員の教育訓練も兼ねて、1つ1つの事項を監査部門全員で確認して、取捨選択・追記/削除等を行って、各社でカスタマイズ化したものを監査ツールとして使用されることをお奨めする。
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