再生医療等製品の品質保証についての雑感【第82回】
第82回:細胞製造の品質マネジメントシステム (12)
~ 製造環境(構造設備)の設計で大事なもの (6) ~
はじめに
本稿でも引き続き、予測的バリデーションと設計適格性評価(DQ)の関係についてお話しします。前回にお話しした通り、個々の設備の適格性設計は、システムとして、組み合わせた状態(作業時)での要求仕様が考慮できていなければ結果(作業適格性)が予測できず、適切なバリデーションの実施にはつながりません。細胞加工製品の製造システム構築における構造設備要求仕様では、製造設備(細胞加工作業に係る設備・機器)、環境設備(システムの堅牢性に係る設備・機器)のいずれについても、URS作成段階より明確に決定することが望まれます。今回は、「製造設備」を中心にお話しを進めます。
● 製造再現性と製造設備の適格性の考え方
細胞加工製品の製造工程は、以前(第74回)でお話しした通り、主工程となる「細胞イベント」のプロセスに培地交換や継代などの部分工程や、充てん・凍結などの下流(製剤化)工程を組み合わせ、一体化した複合のバイオプロセスとなります。このようなバイオプロセスシステム構築(製造工程開発)では、取り扱う細胞(原料/中間製品/最終製品)の生反応が止められないので、製造工程とその作業は、必ずしも作業者や工程資材の動線(扱いやすさなどの)都合で設計することはできません。
構造設備設計も同様となります。特に、製造設備については、炭酸ガスインキュベータや遠心分離機など、個別の設備・装置にて適格性評価を実施しても目標の細胞品質を達成することが難しいと考えます。当該の設備・機器が、細胞加工に係る一連の作業をつなげることを含めて、システムとして運用できることまで設計しなければ、再現良く製造工程が実施できる適格性(バリデーションに相当する妥当性)を評価することはできません。すなわち、必要な設備・機器を選定し、配置するだけでは「GMP基準」には全然足りていないのです。
適切な構造設備設計を達成するユーザー要求仕様(URS)を準備するためには、筆者らは、「必要な製造数を達成する製造工程手順と最適な入力値を設定する活動」、および、「変更に対して一貫性ある品質を考慮した製造工程を設計する活動」が必須となると考えます。
● 作業分解構造の単位要素
「必要な製造数を達成する製造工程手順と最適な入力値を設定する活動」、および、「変更に対して一貫性ある品質を考慮した製造工程を設計する活動」については、それぞれ、QbD手法による製造工程開発(第67回と第68回にて解説)の、設計-1と設計-2に相当します。AMEDの再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(QbDに基づく再生医療等製品製造の基盤開発事業)の成果として、「指南書」として公開しておりますので、ご興味あれば是非ご覧ください。
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