医薬品開発における非臨床試験から一言【第74回】
データインテグリティについて
創薬研究で求められるデータインテグリティについて考えてみます。データインテグリティとは、データの完全性、一貫性、正確性が、そのライフサイクルを通じて維持されている状態を指すとされています。これを創薬研究に当てはめると、信頼性基準、GxPガイドラインのようなしばりの中でも守り創薬から製造販売まで一貫したビジネス展開を可能とします。
創薬では、発想段階から根拠のあるデータが求められ、夢を形にまとめるために、様々な専門分野が力を結集しています。発想段階(探索研究)では、薬理、薬物動態、毒性などの非臨床研究の相互連携により、再現性のある研究をまとめます。次に、臨床移行に向け、信頼性基準の試験に臨みます。
日本では、信頼性基準の中でデータインテグリティの考え方が周知されています。信頼性基準では、データを管理する手順を作り上げる必要があります。紙ベースのデータの記録を厳密に保存することは重要です。さらに、紙ベースのデータが出来上がる前の段階も厳密な管理を行います。例えば、天秤での試料重量の測定では対象となる試料は目視確認であり、測定データはプリンターの紙資料、あるいはオンラインの電子データなどになります。
ここに、データインテグリティの「完全性、一貫性、正確性」を当てはめると、天秤本体に重量データは保存されないが、印刷データ、あるいはオンラインの電子データが残されます。
印刷では、予め作成された記録用紙にデータを添付し、測定者が署名して日付を入れる。さらに試料番号や名称などトレーサビリティを確実にする情報を記入します。
一方、天秤データが電子記録では、秤量データに加えて試料名称、測定者、日時などトレーサビリティを保つ情報を加えた電子データを作成します。
創薬研究では2種類の生データが発生します。1つは紙ベースであり、もう1つは電子データになります。もちろん電子データを紙ベースに変換して紙原本とすることも多いと思います。「資料」のカテゴリーに病理標本などもデータになりますが、紙と電子の2種類に限定して実験データの管理が必要です。
「薬事法施行規則(申請資料の信頼性の基準)、第43条」に、新薬の承認申請資料の根拠資料は、承認の可否が決定されるまで保存されていることが定められています。つまり、申請資料は根拠を持って保存します。
信頼性基準、あるいはGLP基準に従った非臨床試験データの管理を考えると、単純に実験から出てきたデータではなく、科学的な根拠が必要です。得られたデータのインテグリティを科学的に保証する管理体制が求められます。データインテグリティは、試験システムの完成度を高めることが基本です。
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