GMP・GQPの変遷と未来を語る【第3回】
※前回内容「GMP・GQPの変遷と未来を語る【第2回】」
3. PIC/S加盟と日本の製薬業界の国際的活動の本格化
田中: 続いてはPIC/S(医薬品査察協定・医薬品査察協同スキーム)加盟についてです。富塚さんは日本の業界関係者としてご尽力されたと伺っています。私は当時、京都府の薬務課におり、特に行政の中でQMS(品質マネジメントシステム)の構築などに携わっていました。今まで都道府県ごとに教育や査察を行っていたものが、教育などはまとまって行われるようになり、行政側のQMSやマニュアル整備、調査の品質方針策定などに関わっていました。PIC/S加盟の時は、まだ委員長ではなかったと思いますが、日薬連の方でも作業に携わっておられたのですか?
富塚様: ええ、その時は既に品質委員会に入っていて、常任委員として活動していました。
田中: PIC/S加盟の際、業界の方で大変だったことは何でしょうか?行政側は「6つのギャップ」を示し、それを少しずつ埋めていくよう促し、PIC/S基準に合うようにしていくことを宣言して加盟に至ったわけですが。
富塚様: やはり、この後の自主基準にもつながるのですが、ギャップ分析の中で、我々漢方生薬製剤関係、いわゆる刻み工程のみの製造所をGMPに取り込まないとPIC/S加盟に影響が出る、という問題がありました。
田中: そうでしたね、当時大きな課題でした。それに対する対応が一番大変だったのですね。GMPの基準が適用されていなかった刻み工程などの製造所に対して、自社で基準を作るよう求められ、大変ご苦労されたかと思います。
田中:行政としては良かった部分が大きかったですね。単独で教育訓練を行っていた都道府県では、どうしても規模に左右され、査察の数や質に課題がありました。先輩の背中を見て育つ、といった部分もありましたし。それが大きく変わっていきました。皆様、特に業界の方々のご協力もあり、近畿府県では4月に導入研修として5日間の丸々40時間ほど、工場見学も含めて初期教育を行い、その後も月1回程度、今では年間10回ほどになっているかもしれませんが、教育の場やコミュニケーションの場を持つことで、飛躍的に質が向上し、平準化という部分も、まだ難しい面はありますが、以前より格段に良くなったと感じています。
PIC/Sに加盟して、業界の方として「良かった」と感じることはどんなことでしょうか?
富塚様: やはり「共通言語」ができたことですね。PDCAサイクルではありませんが、仕事の流れが会社ごとに大きく異なっていたものが、PIC/Sという一つの基準を中心に、皆がどう対応し、どう進めていくかを考えるようになりました。会社全体として回していかなければならないという意識が生まれたと思います。GQPも本来はその中に入っているはずですが。
田中: GQPは、今は少し変わってきましたが、当時はやはりおざなりというか、都道府県に任せきりという印象でしたね。特に製造販売業の許可が多い大阪や東京を中心に、都道府県内でしか動いていなかった。そういった意味では、GQPは平成17年の改正から最近問題が起きるまで、本当に動いていなかったと感じます。私自身も前職時代は反省した部分でもあります。
PIC/S加盟によって、ツムラさんでも国内外とのやり取りはスムーズになりましたか?
コメント
/
/
/
コメント