医薬品の外観目視検査における要求品質の明確化のために【第31回】

外観目視検査員の認定制度


1.外観目視検査員の認定制度

1.1 目視検査員の認定
 訓練された目視検査員は、微小かつ不鮮明な外観異常も短時間に判別し、排除できる。但し、製造環境、製造工程、検査工程、検査方法、判定基準、目的を十分に理解しないで(させないで)目視検査業務に従事させることは、逆に検査を行なっていないのと同じであるということを理解すべきである。
 一定レベル以上の目視検査員に検査資格認定を与えることで、目視検査業務の信頼性が向上することとなるのは言うまでもない。
★「残念な自主回収事例」でも紹介した通り、表示関係の検査に関しても注目したい。

目視検査員の認定リストの例を図表1に示す。

 ここでは、係毎に主たる検査剤形群(固形製剤、注射剤)を指定し、検査品目グループ(注射剤の場合、アンプル、バイアル、バッグ、シリンジ等に分ける)毎の認定を想定した。製品特性によっては、品目毎に認定しなければならないことも考えられる。
 このリスト例では、異物トレンドの把握のための検査後異物分類や新規配属者や認定更新時の教育担当としての能力も明確にしている。更に、検査実務教育に使用する異物見本(良品限度、不良限度等)の作成、確認能力も含めている。
 当然ながら、これらの認定リストは、責任者による承認も必要である。

図表1 目視検査員認定リスト(例)


1.2 検査員認定の更新
 目視検査員の認定については、更新頻度、適性評価方法も手順化しておくことが重要である。

 ○ 認定更新頻度は、教育訓練と合わせ、1回/年が多い。
 ○ 教育訓練では、初回教育と同様、GMP基礎についても実施。
 ○ 不良品の排除訓練では、実際の検査業務で検知されたものを使用すると効果的。
 ○ 検知率/誤検知率の合格基準は、剤形、規格毎に定める。
  ・検知率についてはレベルを設定し、必ず排除しなければならないサイズ基準を100%
   クリアすることを条件化すること。それは、合格レベルを70%と設定した場合、見逃し
   を許容する基準となってしまうためである。
  ・個人能力差の把握のために、例えば70%検知のサイズ基準での参考試験も有用である。
  ・誤検知率については、検知率は合格であっても、良品を不良と判定することでの歩留まり
   低下に繋がるため、誤検知した検体の排除理由の確認ヒアリングも試みたい。
 ○ 更新試験で不合格の場合、単に試験を繰り返すのではなく、必ず再訓練後に再試験
   とすること。

 

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