基礎からのGVP【第7回】

2021/08/20 その他

第6回に引き続き、GVPの基幹となる自発報告の情報収集に関する手順について解説をする。

情報の収集III

1.情報の収集

GVP省令
(安全管理情報の収集)
第七条
 第一種製造販売業者は、製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、次に掲げる安全管理情報を安全管理責任者又は安全管理実施責任者に収集させ、その記録を作成させなければならない。
一 医療関係者からの情報
二 学会報告、文献報告その他研究報告に関する情報
三 厚生労働省その他政府機関、都道府県及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構からの情報
四 外国政府、外国法人等からの情報
五 他の製造販売業者等からの情報
六 その他安全管理情報


2.情報の種類ごとの業務手順
(1) ~情報の収集I~
(2),(3) ~情報の収集II~
(4) 外国政府、外国法人等からの情報
1)外国副作用報告
国内における副作用症例報告は、ここ数年6万例を超える症例数で推移しているが、外国の副作用症例は4年前に40万症例を超え、令和に入り50万症例を、そして本年度はPMDAの4ヵ月毎の集計で20万件に迫り、年間で60万症例を超えるのではと推測される。外国症例については評価の章で詳細は解説するが、重篤で国内では未知と評価される副作用(日本の添付文書に記載されていない副作用)が報告対象となっていることから、既知の副作用を含めると報告例数を大きく上回る膨大な重篤な副作用情報を外国から収集し、対応する必要がある。

i)関連会社との提携
a)外国本社
外資系子会社の場合、多くの会社では本社SOP(グローバルSOP)の手順により世界各国の副作用情報を収集し、各国子会社の基準に応じて必要な情報を電子情報やCIOMS等の症例情報として提供される体制が構築されている。(このような体制が確立できていない会社はグローバル展開できないということである。)したがって、日本における子会社は、その手順書内(ローカルSOP)でその提供・収集体制を明確にしておくとおもに、製品毎に、いつ本社に情報提供を依頼し、いつからの情報を収集しているかを明確にしておく必要がある。ただし、収集開始の時点において、それまでに集積・評価された情報をとりまとめ、基本情報として整備しておかなければならない。
b)提携会社 
外国から製品を導入している場合は、その提携会社より契約書・覚書等にて外国の有害事象を収集・集約し提供してもらえるよう取交わしておかなければならない。
ただし、提携会社が原体等の製造・提供のみで症例収集体制が整備されていない場合には、副作用情報については、自ら文献等により調査できる体制を整えておかなければならない。(GQP等の品質に関わる情報は必須であるが)
c)(外国子会社等)
外国に製品を導出している場合、GVP省令として規定はされていないが、a)の場合の裏返しとして、導出先が子会社であれば手順書で、提携会社であれば契約書・覚書等で症例情報を提供するよう規定しておかなければならない。そのため、必要に応じ情報収集の手順書内で、情報提供の設定等についてあらかじめ規定しておきたい。
ii)情報収集の範囲
情報提供を依頼・取交しする際には、重篤な有害事象を全て提供するようにしなければならない。
海外の本社や提携会社のよっては、所謂、SUSAR(Suspected Unexpected Serious Adverse Reaction:予測できない(未知)重篤副作用症例)のみを規定してくる場合があるが、予測性は当該国の添付文書やCCDS(Company Core Data Sheet:企業中核データシート)により判断されたり、因果関係も当該企業によるものであったりするので、明確に重篤なものは全て提供するようにしておくことが必須である。そのうえで、日本の添付文書等による既知/未知の判断、企業自らの責任としての因果関係評価を行い、措置を考慮しなければならない。

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執筆者について

草間 承吉

経歴 医薬品、医療機器、医薬部外品等の開発から製造販売後までの安全確保業務を黎明期から30年以上にわたり幅広く経験・管理・監督してきた。この間、業界活動においては製薬協PMS部会や東薬工医薬品安全性研究会、日薬連安全性委員会等でDSUやPMS担当者研修講座の設立等にも関与した。これらの経験を生かし15年前にPMSフォーラムを設立し、製薬企業等からの業務相談に対応しながら、指導・教育に努めている。 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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