医療機器リスクマネジメント-国際規格の要求事項と実践対応-【第2回】

国際規格におけるリスクの考え方
医療機器リスクマネジメントに関する国際規格ISO 14971(以下単にISO 14971と記載)では、リスクを次のように定義して、リスクマネジメントを実施することを要求している。

リスク(risk):危害の発生確率及びその危害の重大性の組合せ(ISO 14971, 2.16)


医療機器の場合、患者に対する危害は勿論であるが、操作者に対する危害や環境に対する悪影響も考慮する必要がある。ISO 14971では、危害が発生する原因となるものをハザード(hazard、危険源と訳すこともある)として、何らかの事象によってハザードから危険状態(hazardous situation)が発生し、これが危害を引き起こすとしている。この関係を図2-1に示す。
 


「ハザード」は、最近では「ハザードマップ」などのように一般に使われることもあるが、リスクマネジメントの用語としては、あくまでも「危険の源」である。商用電力には電撃の危険性があり、医療用放射線には被曝の危険性がある。しかし、ハザードは適正に管理されていれば、危害に直結するものではない。リスクマネジメントでは、このハザードが一連の事象によって危険状態になり、危害を引き起こす事態を防止する。そのために、上記の定義に従ってリスクを見積り、そのリスクの「受容可能性」を評価する。

「組合せ」というのは分かりにくい定義である。また、「リスクの受容可能性」についても、明確にしておく必要がある。この小論を進めながら理解が深まるようにしたいが、この稿では、とりあえず次のように考える。

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