医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第78回】
国際化に対応する医薬品会社に必要なHSEとは?
「試験室に於けるCMR物質取扱い留意事項」
1.製薬企業のあるべき姿
製薬企業の国際化が進む中、製薬工場の各種取り組みが求められるようになってきました。働く人たちの健康被害が発生しないよう、企業は最善の努力をせねばなりません。
日本国ではこれらのリスクを企業自らリスク低減努力をするよう以下のように法改正を行いました。
「労働安全衛生法の新たな化学物質規制」
労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令等の概要
国内で輸入、製造、使用されている化学物質は数万種類にのぼり、その中には、危険性や有害性が不明な物質が多く含まれます。化学物質を原因とする労働災害(がん等の遅発性疾病を除く。)は年間450件程度で推移しており、がん等の遅発性疾病も後を絶ちません。
これらを踏まえ、新たな化学物質規制の制度が導入されました。(2024(R6).4.1施行)
労働安全衛生法(安衛法)に基づくラベル表示、安全データシート(SDS)による通知とリスクアセスメント実施の義務の対象となる物質(リスクアセスメント対象物※)に、国によるGHS分類で危険性・有害性が確認された全ての物質を順次追加します。
さて、製薬企業は工場の中だけがリスクの温床では無く、試験室(実験室、研究室その他試薬を扱う場所の全てをここでは試験室と表現する)では多種の試薬類を日々扱っている。試薬類は、製薬工場では欠く事の出来ない試験室での業務上の資財である。これを扱う場所は、試験室とその隣接する試薬保管室や試薬棚が置かれている場所(単なる事務所だったりすることもあるが、一般的には試験室内に置いて、仕事のアクセスを良くしていることが多い)になります。
一般的に、医薬品工場には品質管理室や化学試験室、開発試験室その他医薬品原料の試験や取扱い、その他多種の試薬類を取り扱っていると思います。上記の法改正ではこれらのリスクアセスメントの実施や試験容器、特に小分けした容器にはGHS(Global Harmonized Symbol)でいう表示が必要です。これは国内法の安衛法にて2024年4月1日施行され既に各企業で対応されている要求事項です。
上記の環境でどのような健康被害リスクが存在しているか、どのような環境破壊への影響リスクが存在しているのかと問われると答えに困る方々が大勢おられるようです。そのような試験室でCMR物質廃液取扱いをリスク特定するのは至難の業かも知れません。
ここでCMR物質とは,
C:発癌性(Carcinogenic)
M:変異原性(Mutagenic)
R:生殖発生毒性(Reprotoxic)
があり、取扱いに十分配慮する必要があると判断された物質で以下の3つに掲載、指定、公表された物質をいう。
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