エッセイ:エイジング話【2025年11月】

ライバルと共存

 古い町並みが続く京都東山区を歩いていると、ベンガラ格子に並んで貼られたポスターを見付けました。早春に彩を添えるをどりを案内するポスターです。

 都をどり・北野をどりは、祇園(ぎおん)と上七軒(かみしちけん)市内でも東と西に少し離れますが、同時期に開催されます。言わばライバル関係ですが共存しています。
 写真のように仲良く並んでポスターが貼られており、さすが京の都の人は、懐が深く、見る側へ度量の大きさを感じ取りました。
 都をどり・北野をどり両方とも観ている人は、踊りが微妙に違い、二つとも毎年見る価値有りと言います。他に京都には鴨川をどりもあり、見る側本位に選択肢が在るなあと思います。

 そう言えば、歌舞伎を題材にしたあの映画「国宝」は、祇園に近い南座(みなみざ)や北野天満宮に近い上七軒歌舞練場(かぶれんじょう)をロケ地にしたと、撮影時のエピソードを地元の人に訊きました。
 映画「国宝」では、華やかな舞(まい)の合間に京都の風景を挟み、その対比を見せる演出でした。主役の吉沢亮さん、川崎流星さん、二人の舞へは、感動させられる一方で、脇役陣の演技が優れており、その中でも三浦貴大さんの渋いセリフが光っていました。

 さて、話は変わります。京焼(きょうやき)と一括りにしますが、金襴手(きんらんて)と呼ぶ雅(みやび)な絵付けを施した絵皿・壺から、燃料の薪(まき)由来の自然灰が窯の中で降った花生(はないけ)まで、文字通り千差万別(せんさばんべつ)なやきものを見る側・使う側へ選択肢を与える配慮が京焼には在ります。
 ここは、砥部焼(とべやき)と言えば一括りの色調が揃う愛媛県砥部地方独特なやきものと京焼は一線を画します。ところが、「砥部じゃねー」と窯元の人から苛められると、若手作家さんから訊いたことが在ります。この窯元の人から若手作家さんへの言葉はしっかりパワーハラスメントでしょう。

 

 

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