医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第68回】
国際化に対応する医薬品会社に必要なHSEとは?
「日本製薬工場に求められる圧空・油圧のリスクアセスメント」
1.製薬企業のあるべき姿
サプライチェーンの信頼性確保が必要な時代に、国内の製薬工場ではサプライチェーンマネジメントが重要となることについて、意識が低く放置されている例が多く見られます。世界中の医薬品工場で使用されている圧空装置や油圧装置、そして電気設備などについては生産機械の構成上、プロセスリスクマネジメントを廻して運用してゆかねば、生産業務に携わっている社員さん、従業員さんの健康安全と環境を守る事が出来ません。又、国際的にサプライチェーン関係が必然となっている今日、プロセスリスクマネジメントをサプライチェーンにも、社内同様、適切に運用されなければ、安定生産を継続しているとは言えない現状となりました。さて、圧空装置や油圧装置ですが、その物理的科学的機能を学ばずして安全管理は出来ません。エンジニアリング技術としては、大変高度な技術が必要です。学校で学んだ程度では、現場でこのプロセスリスクアセスメントを完全に廻してゆけるものではありません。最近は、「インターネットで学んでなんとかやっています。」というような方々が多くなっています。その結果かも知れませんが、工場で発生する事故や火災、怪我、健康被害がテレビや新聞で報道されています。技術レベルの低い技術者が、十分な時間と教育を受けず現場に入る現実は変えてゆかねばなりません。特に、他の業種と比べて製薬工場の技術部門の技術レベルは、決して高くない事を受け入れて、企業として技術者の技術レベルを上げることが求められています。
事業所のHSEレベルを高め、事業所内で働くすべての人と、サプライチェーンで働く人々の健康安全と地球環境保護を担保して、健全な業務を行うことの出来る、国際社会に貢献できる会社としての成長を目指すのがあるべき姿です。

2.国内製薬企業の現状
しかし、会社上層部にその重大性を理解している方が、日本の製薬企業に少ないのが現状です。長い歴史の中で、製薬工場はその生産機械の技術技能は生産機械メーカーの技術者に依存してきたことが、大きな原因となっているようです。更に、生産開始時のサポートで機械メーカーの技術者が就いてくれている間はお任せで仕事をしていた従業員の方々は、その後についてはメーカーのマニュアルなどをみて、社員や従業員が生産機械を動かしているのが現実です。定期メンテナンスも、メーカー技術者を呼んで外注でやってもらう会社もあるようです。製薬工場のトップマネジメントは、安定生産と安定供給を優先している為、総合効率やチョコ停を問題にしますが、生産機械のオペレーション技術向上の為、専門技術向上を投資して求める会社が少ないと伺っています。経費節減が先で、自社の社員従業員の資格取得や、技術向上のために大きなお金を予算化する事に努力をしている会社上層部が少ないのが現実のようです。
コメント
/
/
/
コメント