ICH Q3E 「医薬品の抽出物及び溶出物ガイドライン(案)」
先週(2025/10/10)、厚生労働省/独立行政法人医薬品医療機器総合機構/日本製薬工業協会の企画によるICH Q3E:E&L(Extractables and Leachables)ガイドラインに関する説明会が開催されましたが,質疑応答のやりとりがありましたので,質疑(重複等略)について一部抜粋して概説します。事前及び当日質問に対する回答はEWGの正式見解ではなく,寄せられた意見等はパブコメに対する意見にはならないという注意がありましたので,ご留意ください。
なお,ガイドライン本文案および補足資料案(いずれも英文)は上記説明会のWebサイトよりダウンロード可能ですし,現在募集中(受付締切:2025年11月29日0時0分)のパブコメ募集のページにて和訳版もダウンロードできますので,ご参考ください。
● 本ガイドラインは既存の製剤には適用されないか。
既承認であっても,処方,製造,投与,容器施栓系等,溶出プロファイル又は患者曝露に影響する可能性のある変更は適用。
● 一般用医薬品は含まれるか。
含まれない。
● Safety Expertの関与は必須か。Safety Expertの資格要件は定義されるか。
義務付けや具体的要件を示す指針案ではない。
● E&Lリスクを増大させる圧力の基準は?
ろ過フィルター等を想定。
● 二次容器を含む薬液と非接触な部材の抽出物/溶出物データの必要性?
一次包装として半透過性容器を採用している場合等,二次包装からの溶出物リスクを否定できない場合必要。
● 「AETを超え,かつ適用される安全性閾値を下回る抽出物が全く/ほとんど検出されない場合」の意味が読み取りづらい。
先ずAETを超える抽出物/溶出物の有無の判定が行われた上で,AETを超える抽出物/溶出物が認められた場合のみ,当該抽出物/溶出物の構造決定とQT値を用いた安全性評価が行われることが実際には想定される。
● Risk Controlで示されるacceptance criteria及びquality agreementはCTD上どのように取り扱う意図か。
CTD上の何らかの記載を指定する意図はなく,該当すれば溶出物に係る包括的な説明の中に含めること。CTDについては,現在Step 2のM4Q(R2)の議論も踏まえる。
● 保管条件が凍結の原薬においても,凍結前と融解後は溶液の状態であるため,適用されるとの認識でよいか。
液状で接触している状態について考慮すべきとなっている。
● 原薬容器で,抽出物試験でAETを超える物質がない場合,溶出物試験は不要か。
液状の原薬では長期保存時に溶出物が認められる可能性があり,何らかの妥当性を示すことになる。
● ゴム栓とバイアルの組合せで,抽出試験を実施すれば抽出物データと利用可能か。
接触面積として保守的になる点や個別の部材の供給者情報を利用する等を想定に含めている。妥当性を示すことができる試験デザインであれば,受け入れられる。
● Similar materialとはtube, filter等で分類するか,PP, PEで分類するのが適切か。
同じ原料を使用していれば,同じ溶出物が認められても不思議はなく,その観点での指針案となっている。
※直接的な回答になっていないように思われるが,材質の要因が大きいとの意図ととらえられる。
● 原薬の凍結融解前後の保管温度及び保管期間をカバーして,溶出物への影響を含めて条件設定することで凍結保管原薬の容器の評価は代替可能か(凍結の長期間の評価に代えたいとの意図)。
液状で接触している状態について考慮すべきとなっている。
● バイオ医薬品で製品毎に正当化する必要は?最終精製工程で溶出物が除去できると正当化した場合,(個別の品目について)培養工程を評価対象外とできるか。
製品毎に正当化することを期待している。その際に,同様の製造工程の既存の知識の利用は可能。
● 製造/包装の部品/システムの材質名又は部材の型番等について,CTDへどの程度の記載が必要か。
CTDにおける何らかの記載を指定する意図はない。CTDにおける記載は,Step 2となっているICH M4Q(R2)の議論も踏まえる。
● 抽出物試験をモデルケースにより解説してほしい。
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