再生医療等製品の品質保証についての雑感【第78回】

第78回:細胞製造の品質マネジメントシステム (8) 
~ 製造環境(構造設備)の設計で大事なもの (2) ~


はじめに
 前回において、品質マネジメントシステム構築における、バリデーションマスタープランの作成および構造設備設計を適切に実施するために必要なものが、何をどれだけ生産するのか」を明確にすることだとお話ししました。細胞加工製品では、特に、品質が製品設計時の製造プロセスに依存して変更管理が煩雑となるため、バッチサイズの幅など、より詳細な情報が要求されると認識します。
 ここでは、バリデーションマスタープランの作成手順より、順次お話しを始めたいと思います。

● バリデーションマスタープラン作成の手順 (1): 基本要求事項
 バリデーションマスタープランとは、製造におけるバリデーション活動全体の計画です。バリデーションの目的は、再現性がある安定した工程結果の予測を得ることであり、適切な品質マネジメント下で、製造および品質管理のシステムを構築することです。その構築手順は、下図のようになります。本稿では準備段階(ユーザー要求仕様作成準備)までのお話しをします。

図. 適格性評価(構造設備設計)とバリデーションマスタープランの相関

 システムの構築には、初めに、安全性と有効性を担保する製品品質規格を決定し、その検査方法と手順(品質管理基準の原版)を構築します。ここで要求される品質管理項目は、実施されたプロセスが目標品質を達成しているか否かを評価(ベリフィケーション)できて、故障解析が可能であることが必須です。留意すべき点は、現状の細胞加工製品に採用される品質規格(出荷判定基準)の多くがベリフィケーションに対応していないことです。ぶっちゃけ、原料と最終製品に共通する特定の表面抗原特性などは、品質管理としては必須ですが、バリデーション活動にとっての重要性が低いです。プロセスの妥当性評価に与する品質管理項目が得られない場合、バリデーションが達成できないことが想定され、GCTP省令でのベリフィケーションに相当する対応が必要と考えます。

 

 

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