薬事屋のひとりごと【第5回】
GMP指摘事例速報 No.21
筆者が気になる通知をひろいあげて、ひとりごとをお伝えするシリーズです。ひとりごとは読み流していただき、読者の皆さんが通知をお読みの上、しっかり内容を把握いただくと助かります。
第2回に続きオレンジレターです。無菌製剤の製造関係者以外は、何をいっているのか響かないかもしれません。そんな皆さんの一助になればと思います。
まずは、「滅菌」についてです。“微生物がいないこと”と回答された方、微生物が完全にゼロであることを証明することは不可能なんです。なので、無菌性保証水準(Sterility Assurance Level (SAL):滅菌後に製品中に生育可能な微生物が1個でも生存している確率を表す指標)を使います。医薬品製造においては、通常、SALが10-6 つまり「製品100万個につき生存する微生物の数が1個以下の確率」が求められます。微生物試験では「確率」を使うことが多いのですが、詳細に説明すると、“シャー”と嫌われてしまうかもしれません。当該通知に登場する用語を平た~く説明しますので、お付き合いください。
1) BI バイオロジカルインジケータ
特定の滅菌方法に対し、最も高い抵抗性を持つ指標菌の芽胞を既知の菌量で接種した微生物学的テストシステムを指します。このBIを予め定められた抵抗性(滅菌のしづらさ)を持つ工程試験用具(Process Challenge Device:PCD)に挿入し、滅菌器の内部で滅菌剤が最も届きにくい場所、すなわちコールドスポットに配置して滅菌処理を行います。その滅菌方法に最も耐性のある菌が死滅したことを確認することで、滅菌プロセス全体が有効であったことを間接的に証明します。
2) D値 Decimal Reduction Time
特定の条件下(滅菌剤濃度、暴露温度、相対湿度など)において、微生物の個体数を90%、すなわち1ログ(101 )減少させるのに必要な時間です。
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