GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第86回】

CAPAシステムと変更マネジメントシステム

1.手順書の改定
 手順書の改定を行う時、変更管理として処理を行う必要はあるか。

<図1 変更管理のフロー1)

 変更管理フローから分かるように、手順書の改定は変更項目の対象となる手順書の改定を変更実施前に行わなければならない。その製造や試験の手順を変更する必要が生じた時、その変更事項について定めている手順を改定しなければならない。変更の実施前に変更項目が記載されている手順書を改定し、その内容について教育訓練が必要となる。
 手順書を改定する必要が生じる場合、その根拠となる事象があるはずである。例えば、製造方法や試験検査方法を変更する場合、手順書を変更する前に、その方法が医薬品製造販売承認に影響しないか、製造設備や試験検査設備を従来のまま使用できるか、確認する必要がある。その前に、製造方法や試験検査方法を変更する必要が生じた根拠、理由を確認しなければならない。今まで、使用していた設備が使用期限に迫り、設備を更新する必要が生じたのか、日本薬局方に収載された品目で、局方の改正に伴い、試験検査法を変更することになったのか、製造量が増加したため、製造方法を変更することになったのか、原薬や添加剤が変更となり、製造方法や試験検査方法を変更する必要になったのか、その根拠を検証し、どのように製造方法や試験検査方法を変更する必要が生じたのか、リスク分析をし、必要な対策を行う必要がある。その手順にリスクがないか検証するために、バリデーションを実施する必要もある。リスクアセスメントとして、その変更に伴うリスクを低減しなければならない。
 GMP管理として、業務内容を手順書に記載すべき事項が多くある。すべての業務を手順書に記載することが求められる。GMP省令においても、製造管理、品質管理、衛生管理など、製造部門、品質管理として試験検査部門の業務は手順書に定めなければならない。変更や逸脱に関する管理、バリデーション、回収処理、自己点検、教育訓練、文書及び記録の管理などその手順を定めなければならない。手順書の記載内容の不足について、監査等で指摘されることは絶えない。手順書の記載内容を変更する時に変更管理として処理しなくてならないのか考える必要がある。手順を変更する時は、変更管理として処理しなくてはならない。その変更によりリスクがあるか、手順書の記載内容に影響するならば、手順書を改定する必要がある。変更管理フローに必要な措置として文書改訂が示されている。つまり、手順等を変更提案がされたときには、変更の実施前に手順書を改定しなければならない。手順書の改定が提案されたときは、手順を改定が必要となった根拠がどこにあるのか確認し、その根拠となる事由を変更する必要があるのかリスク分析しなければならない。そのリスクとして、手順書の改定が必要か確認し、手順書の改定がリスク分析として必要と判断したなら変更実施前に、手順書の改定をし、リスクが提言されたことを確認することとなる。手順書の改定をいきなり変更管理として処理するのではなく、手順書の改定となった原因を追究して、手順書を改定することにより、リスクが低減できたことを確認しなければならない。

 

 

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