【2013年8月30日発出課長通知】ASTROM通信<34号>より


株式会社プロス発行のメールマガジン『ASTROM通信』のバックナンバーより記事を抜粋し、一部改編をしたものを掲載いたします。
 
本稿は【2013.09.13】に発行されたものです。
記事の原著は、こちらでご確認下さい。 ASTROM通信バックナンバー
 
 
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
 
昨日・今日と残暑が続いていますが、お変わりなくお過ごしでいらっしゃいますか?
 
さて本日は、2013年8月30日に発出された課長通知「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の取扱いについて」(薬食監麻発0830第1号)について取り上げたいと思います。
長文になってしまいましたが、是非、お付き合いください。
 
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発出の経緯
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ご存知の通り、現在、厚労省は、医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキーム(以下、PIC/S)への加盟申請をしています。
加盟準備の一貫として、2013年6月14日から7月30日まで、国内のGMPとPIC/S のGMPガイドラインの整合性を図る目的で、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の取扱いについて(案)に関する意見募集」を行っていました。
上記意見募集の結果を踏まえ、2013年8月30日に発出された課長通知が、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(平成16年12月24日厚生労働省令第179号)(以下、GMP省令)に当たります。
 
<課長通知>
 
<同時に出た意見募集の結果>
 
 
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今回の通知のポイント
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1.品質リスクマネジメントの活用
■原文■
品質リスクマネジメントは、医薬品又は医薬部外品を適切に製造する品質システムであるGMPの製造・品質管理を構成する要素であるとともに、品質に対する潜在リスクの特定、製造プロセスに対する科学的な評価及び管理を確立するための主体的な取り組みである。
製造業者等は品質リスクマネジメントが製造プロセスの稼働性能及び製品品質の継続的改善を促進する有効な評価手法となることを考慮すること。
 
■ポイント■
既にPIC/S GMPガイドライン、ICHガイドライン、GAMP5 等で謳われているリスクベースドアプローチが、国内のGMPに適用されることがあらためて明確化されました。
今後、製品の品質に対するリスクの特定と評価・リスクに応じた管理が、今まで以上に重要になってくると思われます。
 
2.製造・品質管理業務について
■原文■
GMP省令第5条に規定する製造・品質管理業務は、製品品質の照査を含むこと。製品品質の照査は、定期的または随時、製品品質に関する結果・状況等を照査・分析することにより、製品が適切に管理された状態で製造されているか、又は改善の余地があるか確認するために実施するものであること。
 
■ポイント■
・パブリックコメントNo.131
『 (前半省略)品質照査の期間は、製品あるいは生産の安定性などを考慮した上で、
企業の判断で二年あるいは三年にすることが認められるか』
という意見に対して、『製品品質の保証の重要性を考慮して規定したものです。通常、年1回は製品品質の照査を実施してください』という回答になっていました。
厚労省は、最低でも年1回の製品品質の照査が必要という見解であることは留意しておく必要があります。
 
・パブリックコメントNo.6
当初案に、"電磁的記録は、製品品質の照査に利用できるようにすること。"という記述がありました。
そのため、『紙の記録を正としている場合でも、電磁的記録により照査できるように
しなければならないのでしょうか』という質問もありましたが、電磁的記録の製品品質の照査への利用の記載は削除されました。
理由は、PIC/S GMPガイドラインの旧ANNEX11にあった、「品質監査の目的のため、電子的に保管されたデータについて、意味のわかる(コンピュータ言語や記号のようなものでない)印刷コピーが得られるようにしておかなければならない。」という品質監査を視野に入れた規定が、改訂版ANNEX11では「電子的に記憶されたデータの鮮明に印刷した副本を入手可能にすること。」というように、特に使用目的を限定しない規定に変更されたためです。
ただ、電磁的記録の利用については、今回の記載の削除により、何の規定もなくなったというわけではなく、施行通知第3章第3逐条解説の「35.その他(電磁的記録等について)」や、「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令(平成17年3月25日厚生労働省令第44号)」に記述がありますので、注意が必要です。
使用目的はさておき、システムを使っていながら『紙の記録が正』と説明するのは、難しくなってきているのが現実です。
 
3.平成17年3月30日付け薬食監麻第0330001号「薬事法及び採血及び供血あっせん業取締法の一部を改正する法律の施行に伴う医薬品、医療機器等の製造管理及び品質管理(GMP/QMS)に係る省令及び告示の制定及び改廃について」(以下、施行通知)の改正について
■ポイント■
パブリックコメント募集時の新旧対比表などを見ながらチェックされることをお勧めします。
 
ここからは、今回の通知でインパクトがある1)参考品等の保管、2)安定性モニタリング、3)原料等の供給者管理、4)電磁的記録等について、5)バリデーション基準について、じっくり見ていきたいと思います。

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