ラボにおけるERESとCSV【第111回】

FDA 483におけるデータインテグリティ指摘(81)


7.483における指摘(国内)
前回より引き続き、国内企業に対するFDA 483に記載されたデータインテグリティ観察所見(Observation)の概要を紹介する。

■ MMMM社 2022/11/18
施設:原薬工場

■Observation 1
原材料、中間体、原薬のテストにおいて使用されているコンピュータや関連システムに対し適切な管理が行われておらず、権限者のみにより変更が行われたことを保証できない。特に;

A:IPC (In Process Control)テスト室において使用されているカールフィッシャーの日時が変更されないようロックされていない。

★解説
IPC(In Process Control 工程内管理):
工程をモニターするため、適切な場合には工程を調整するため、又は、中間体・原薬が規格に適合することを保証するため、製造中に実施するチェック(ICH Q7A)。
(出展:ISPE日本本部の用語集)

不都合なテスト結果となった場合、機器の日時を変更してテストをやり直すことが考えられる。テスト実施にかかわる職員は不都合なテスト記録の改ざんや削除の動機を持ちうるので、テスト実施にかかわる職員が機器の日付・時刻・タイムゾーンを変更できると指摘される。したがって、機器の日付・時刻・タイムゾーンの変更は、不都合なテスト記録の改ざんや削除の動機を持ちえない部門のみが実施できるよう権限設定を行う必要がある。

QCラボで実施される品質試験や規格試験において、テスト実施にかかわる職員が機器の日付・時刻・タイムゾーンを変更できると指摘されるのは当然である。製造におけるIPC (In Process Control)テストは品質試験や規格試験ではないとしても、規格に適合した製造を保証するためのテストである場合はテスト実施にかかわる職員が機器の日付・時刻・タイムゾーンを変更できると指摘されるということである。

では、日時の変更を権限者のみに限定できない場合どのようにすればよいであろうか。テスト結果につけられたタイムスタンプが真正であることを証明できれば査察指摘を回避できると思われる。例えば、以下のような手順とすることが考えられる。
① テスト者がテスト開始時に機器の時刻が正確であることを確認し、その記録を残す
② テスト終了後速やかに第三者が機器の時刻が正確であることを確認し、その記録を残す
 

記録場所は、試験記録や機器使用台帳(ログブック)などが考えられる。機器使用台帳はFDAのcGMPにおいて使用日時を記載するよう規定されているので、タイムスタンプの真正性証明に活用できるように思える。

§211.182 機器の清掃・使用ログ

  • 機器を異なる品目の製造や検査に使用している場合
    機器を清掃、保守、使用するときには、各機器の使用記録(ログ)に使用日時、品目名、ロット番号などを記載しなければならない。
  • 特定の品目に限定して機器を専有使用している場合
    機器の使用履歴は製造記録により判るのでこの限りではない。


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