基礎からのGPSP【第12回】

 

~使用成績調査の実施③~


5. 実施管理
5.1 進捗管理と実施部門との連携
製造販売後の安全監測にとって、管理部門と実施部門との連携はその成否を決定する最も重要な要素であることは自明の理ではあるが、この時期においては特に、そのタイミングも含め、適正かつ円滑に連携が取れていなければならない。如何にして、相互から働きかけて、協働体制を築き上げていくかが重要である。
1) 管理部門のサポート体制充実
  調査等の速やかな進捗のために、管理部門、実施部門の相互が活用できる情報等をタイムリーに
  提供できるシステムの構築や、相互に日常の活動を考慮した支援及び依頼に努める必要がある。
2) 登録状況情報
  調査等進捗管理においては、患者登録状況に関する最新の情報を的確に把握していることが基本
  である。また、調査医師にとっても適正な患者登録を行う上で必要な情報であることから、提供・
  確認できるようにしておく必要がある。
  登録状況に関しては、
 ●登録状況の即時報告
  ▹ 契約締結報告並びに登録開始依頼書   医師用・MR用・(管理部門用)
  ▹ 登録票受領並びに登録終了のお知らせ  医師用・MR用
  ▹ 登録票確認依頼書(追記・修正依頼)  医師用・MR用
 ●登録状況の情報共有
  ▹ 定期的状況報告書           医師用
                      MR用・実施責任者用・管理部門用
 ●契約症例数の登録完了報告
  ▹ 登録予定症例数完了のお知らせ     医師用・MR用

などのタイミング及び形式の情報提供が、通常、実施されている。この情報提供を的確に実施することにより、契約違反や登録違反を未然に予防することができ、GPSP不遵守の事態に陥るようなことはなくなる。
なお、登録管理については調査の規模等により、管理業務が膨大になってしまい管理部門内での実施が困難な場合を除き、可能な限り内部処理により管理することを推奨する。使用成績調査等の調査においては、割付等の公明性を担保する必要はないので、基本的には中央登録のための登録センターをわざわざ外部委託する必要はない。それぞれの施設、医薬情報担当者等における調査進捗状況をじかに感じることにより、連携の向上につながる場合が多い。ただし、特定使用成績調査の対象患者選定等で専門的な知識が必要で、対応できる外部機関等に登録センターを設けたりすることはある。また、登録基準等をあらかじめ明確にしておくことにより、登録内容のチェック、確認依頼等の要否判定、依頼書等の発出等の業務が軽減されることから、逆に、登録センターを外部委託し、活用していることが多くなっている。
 
5.2 実施部門との情報共有
医療現場で起きている情報を、医薬情報担当者、実施責任者及び安全管理部門の担当者、担当責任者、そして調査等管理責任者が、タイムラグがなく、最新の情報を共有していることが安全監測では重要である。実施部門・管理部門間で無駄な行動や、混乱を防ぎ、円滑に対応することにより日常診療の場から的確に情報を収集できるようになる。
1) 報告書提出依頼
  通常、調査等の実施状況につき、手順書等で「実施責任者は調査の進捗状況については文書にて
  調査等管理責任者に報告しなければならない」と規定され、管理部門に報告書が提出されてくる。
  また、実施部門では責任者が報告書を作成する上で必要な事項を医薬情報担当者等に確認する
  ために担当施設での進捗につき報告する旨の依頼している。
  これらの報告の流れを整理してみると、
  (1) 医薬情報担当者毎に、調査対象施設の状況につき 
    【登録未・登録中(2/5)・登録完了】程度の分類で報告
  (2) 調査対象施設毎に、登録済症例の状況につき
    【調査開始・調査期間中・調査期間終了】程度の分類で報告 ⇒ 下表参照
  (3) 調査終了症例毎に、調査票回収の状況につき
    【記入依頼済・記入中・回収済・再調査中・回収完了】程度の分類で報告 
  と、医薬情報担当者においてはこの3段階での情報更新が必要となる。
 

 

 

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