最新コスメ科学 解体新書【第27回】
小腸壁と口腔内の濡れ③ 動物実験に代わる新しい安全性評価へ
私たちの身体のいたるところにある「粘膜」。小腸・舌・瞳などのヌルヌルとした表面で一体何が起きているのか、どうすればコントロールできるのか? そんな謎を解き明かすために、私たちは寒天ゲルを使って、非常に水に馴染みやすい超親水性の小腸や舌の精巧なモデルを作り出しました。
このモデル表面を水が広がる速度を、アルコールやナノ粒子などを使って自在に操る技術を使えば、「薬の吸収を早める」ことも「ダイエットのために栄養吸収を抑える」こともできるはず!……と意気込んで企業にアピールしたものの、「面白いね」とは言われるものの、なかなか実際の開発には結びつかない日々が続いていました。
そんなある日のこと。長年の学会仲間である大手化粧品メーカーのOさんとEさんが、ふらりと私の研究室を訪ねてきました。
「先生が進めている『濡れ』の研究について詳しく聞かせてほしいんです」
驚いたことに、二人は私がこれまでに発表した濡れ関連の論文をすべて読み込んでいました。そして彼らが目をつけたのは、小腸でも舌でもなく、瞳(眼球)の表面で起こる濡れ現象だったのです。
アイシャドウやシャンプー、メイク落とし。こうした製品を開発する時、最も重要なポイントのひとつに「目に入った時の安全性」があります。成分によっては粘膜を刺激し、痛みや炎症を引き起こす可能性があるからです。かつては、ウサギの目に成分を滴下して反応を見る「ウサギ眼粘膜試験」が標準的に行われてきました [1]。
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