いまさら人には聞けない!微生物のお話【第41回】

16. 水の微生物

医療機器では製造工程で水を使うケースは限定的かもしれませんが、医薬品、化粧品、食品などでは製品自体に水が使われるケースもあり、様々な工程で大量の水が使われています。
水は、微生物汚染のリスクが非常に高いことが知られています。加えて水環境で増殖する微生物の多くはグラム陰性細菌で、これはエンドトキシンを産生します。そのため水の微生物学的なモニタリングは非常に重要です。
バイオバーデン試験など一般細菌を対象とした微生物試験ではSCD培地が多用されます。SCD培地は多くの細菌や真菌の培養に適した培地ですが、SCD(Soybean Casein Digest)という名前の通り、ダイズとカゼイン(乳に含まれるタンパク質)由来のペプトン(タンパク質を酵素でアミノ酸や低分子量のペプチドまで加水分解したもの)が主成分で、非常に栄養リッチな培地です。そのため病原菌を含む多くの微生物の増殖が期待できるのですが、純水中で増殖するようないわゆる水棲細菌は、もともと栄養分の少ない環境で生育するため、SCD培地では栄養分が豊富過ぎ、かえって生育が抑制される傾向があります。そのため水の微生物試験では、敢えて栄養分を制限したR2A培地がしばしば使われます。(表7)
このR2A培地を使う際は、対象が水環境に適応した粗食を旨とする水棲細菌ですので、培養温度を20~25℃として、5~7日間程度培養を行います。

 

 

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