製造担当者も知るべき臨床試験の基礎知識【第5回】
一般に臨床試験というと、"患者がいて、その患者さんに薬を飲んでもらって、病気が良くなるかどうかを試して見ること"と思われている。臨床という言葉から来る実際の行為の場は病床ということになるが、何も病に苦しんで、ベッドや蒲団に寝ていることを指している訳でもない。臨床研究という大きな枠の中に臨床試験があり、治験が含まれている。
病気によっては、発熱するもの、しないもの、痛みを伴うもの、伴わないもの、腫れるもの、腫れないもの等、様々な症状がある。一見健康に見える方でも、重大な疾病を有していることもある。従って臨床試験は何処で何を対象に、何をやるかは、試験の内容によって異なり、1つの表現で捕らえるのは非常に難しい。
被試験物が、薬か、医療機器か、使用の方法か、といった様々なことが考えられ、また行われている。医療機器の場合でも、直接患者さんに触れて治療に用いるもの、患者さんから採取したものを資料として用いるもの、直接治療に用いないが、状態を楽にしていくもの等たくさんの種類の機器がある。
いわゆる一般的に臨床となるか、非臨床となるかを考えずにほぼ臨床試験として受け入れられている。定義があり、実施するときにはガイドラインがある範囲のものは明確であるが、そうでないものも沢山ある。
例えば、特定保健用食品という表示の許可を得るための臨床試験はどのように考えるのか?特定保健食品の表示と効能記載が許可されるが、医薬品ではないので、治験には当たらず、又GCP遵守の対象外である。これは、指針として公にされている「疫学研究に関する倫理指針」に沿って実施される。 臨床試験といえば、医薬品ということが、普通に受け入れられている。臨床試験でも未承認医薬品か、承認を受けて市場に流通している医薬品を使用するのかによって、又、承認を得るための申請書に収集したデータを添付するか否かによって、その試験の呼び方と取り扱い方(実施方法)が異なってくることが、前記の内容から伺える。我々医薬品に携わる者としては、まず医薬品について知ることから始め、その他の分野に広げていくことが分かり易いと考える。
指針の適用範囲内と範囲外の事例について整理すると次表のとおりである。
表1.疫学研究の指針の適用範囲内と範囲外の事例
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