WFI製造プロせすへの思い【第12回】

 日本薬局方に収載される膜分離によるWFI製造法に「分画分子量6000以上のUF又はRO」と書かれていることに対する外国からの誤解、今回はFDAからの誤解について触れます。
 日本の製薬会社で発熱性物質(Pyrogen)を膜分離する一連の試みが発端となり、第十一改正日本薬局方第一追補(1988年)として、「超ろ過WFI」が収載されました。
 ところが、「分画分子量6000以上のUF又はRO」と記載されたことが、外国から誤解を招くこととなり、これは現在においても完全に払拭されたとは言えません。

1. ジョジア大学でのワークショップ講演
 1991年3月、米国University of Georgia GMP会議のワークショップでMichael Beatrice氏が「バイテク製造作業審査の重点項目」という題名で4つの主要な項目、水処理システム、カラム精製、多目的施設、新剤形について講演を行いました。Michael Beatrice氏は、講演当時、FDA CBER(Center for Biologics Evaluation and Research) Product Certification Division の課長補佐の職にありました。
 
2. 講演内容
 当時の講演内容(翻訳文)が雑誌に掲載されましたから、水処理システム項の中で、WFI製造に関連するUFおよびROに対して言及した部分を引用します。
―以下は掲載された記事(注-1)から原文のままです―
 われわれは、処理工程の各ステップを調べ適切かどうかを判定する。いうまでもなく,製造用水の最終ステップは通常何らかの蒸留である。ところが,注射用水の精製のための蒸留器以外にもシステムを使用したいと思うメーカーにも,問題が起きていることを私は申し上げておきたい。(確かに)USP(米国薬局方)には蒸留でもRO(逆浸透)でも注射用水を精製できると記載してある。ただ,われわれが現在直面している実に雑多な問題をご報告しておきたい。
 RO(逆浸透)は超ろ過(UF)ではない。何人かの人々がわれわれのところへ来て,UFはROをちょっと複雑にしただけのものではないかと言った。たしかに私は未熟な人間であるが,Center for Biologicsの職員は「UFもROのようなもの」とは考えていない。UFにはたくさんの問題がある。特に外国の施設では,UFを使って注射用水を精製しようとする人々がいる。われわれは一種の内規を作成した。これは実際には正式の方針ではないが,ここで,「水の最終製品にはUFシステムによる注射用水の精製は,将来は受け入れない」というわれわれの考え方をお知らせしておきたい。バリデーションの程度によって,洗浄目的の注射用水をUFシステムで製造することは認めても良いが,大規模な監視を義務づけることになろう。これはわれわれが従来きちっと対処してこなかった部分である。われわれはまだ最終決定に至っていない…。 
 ROシステムにも問題はある。それは基本的にはROシステムのコンタミ(汚染)である。しかし,ROは注射用水製造として認められている。とはいえ,ROを使用する場合にはもう少し厳しいバリデーションを求めることになる。ROでわれわれが見る問題は,RO水の精製水システムのプラスチック製のパイプである。蒸留器を使用しているか否かには関係なく,ここでは再び注射用水の供給システムには,ステンレススチールがよいのではないかと思う。ステンレススチールは他の物質との反応が少なく,洗浄もずっと容易であるなど明らかなためである。したがって,ROを持っていようが,われわれは企業にステンレスを使ってもらいたいと思う。もしプラスチックを使用すれば,われわれは企業にプラスチック製パイプの抽出試験も求めたい…。-以下略-

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