いまさら人には聞けない!微生物のお話【第31回】

16.3 EO滅菌工程のバリデーション(PQ)

バリデーションの項で説明した通り、滅菌工程パラメータが決定したら、バリデーション(PQ)に移行します。新たな滅菌装置を使用する場合や新製品の滅菌では、滅菌工程の確立から引き続いてPQに入る場合もあります。なおPQの前にはIQ、OQを実施し、使用する滅菌装置が適切なものであることを検証しておきます。既存の滅菌装置を使用する場合は、IQ、OQはすでに実施済みということで、省略する場合もあります。
バリデーション手順書、バリデーション計画書は、バリデーション実施前に必ず準備しなければなりません。承認された手順に則って作業を進めます。
EO滅菌では、滅菌ガス、バリデーションに使用するダミー製品、インジケータ類(PCD)、その他の消耗品類、試験に必要な器具、試薬、標準液、培地など準備すべきものが多くありますので、事前にリストを作成し、漏れがないように準備を進めることが必要です。
PQ作業自体は、湿熱滅菌と同様です。準備したバリデーション計画書に則って作業を行います。そのためにも、計画書には作業内容ならびに合否判定基準を明確かつ詳細に記載しなければなりません。
バリデーション作業終了後、バリデーションチームが中心となってすべての工程記録、試験結果を含めた報告書を作成します。そしてバリデーション手順書に規定された人がその報告書を承認することをもって当該バリデーションが終了となります。

16.4 EO滅菌の日常管理

(1)    滅菌工程手順書
滅菌工程バリデーションで、滅菌に必要なすべてのパラメータや管理項目が決定されたら、それらの情報を滅菌工程手順書として正式に発行します。滅菌工程手順書には、少なくとも以下の詳細な情報や手順を含めるか参照できることが必要です。

①    使用滅菌装置(プレコンディショニングルーム、ガス抜き室などを使用する場合は、それらについても記載すること)
②    滅菌工程パラメータの設定条件
③    工程パラメータの許容範囲
④    製品の性状、包装形態、滅菌時の梱包形態、滅菌器への積載形態、BI・CI・センサー類・サンプルの個数および挿入位置(BIは、滅菌工程確立やバリデーション結果よりもっとも滅菌されにくいと判定された場所を含むことが望ましい。一方製品サンプルは、最も温度が高い場所など製品に対するダメージが大きいと判断される場所に置くことが望ましい。)
⑤    ユーティリティーの調整を含む滅菌装置の作業前点検
⑥    滅菌器への製品の搬入とセンサーの設置
⑦    滅菌装置の運転手順
⑧    滅菌作業に関する安全管理
⑨    滅菌工程のモニタリング項目と滅菌の記録
⑩    滅菌後のサンプリング方法
⑪    滅菌後の製品の扱い
 

この手順書は、作業者が読んで正確に作業を行うことができるように、明快かつ詳細に記載しなければなりません。許容されるパラメータの誤差、逸脱時の対応、作業場の注意事項などももれなく記載します。もちろん作業者は実作業に先立ち、必要な教育訓練を受けなければなりませんが、その教育訓練の資料になるのもこの手順書になります。
繰り返しますが、滅菌工程は製品の無菌性を保証する上で極めて重要な工程です。同時にEOには毒性や爆発性があることより、危険な工程でもあります。そのため滅菌に携わる作業者は、滅菌工程で要求される管理事項や注意事項について、正しい知識と技能を持たなければなりません。 
 


▼関連セミナーのご案内
ISO11135要求を満足するEOG滅菌バリデーションの実務解説
~監査対応や規格要求の取り込み方~

 

執筆者について

経歴 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

連載記事

コメント

コメント

投稿者名必須

投稿者名を入力してください

コメント必須

コメントを入力してください

セミナー

eラーニング

書籍

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

※関連サイトにリンクされます