私が経験したGMP、(@独り言)【第7回】

2022/11/25 品質システム

作業着の洗濯管理責任は?

作業着の洗濯管理責任は・・・ ― 個人?会社?―


 概ねどこの工場でも着衣は、会社指定のものがある。事務作業、製造、試験をする場所と人により、着衣するものは異なり、それぞれに指定して更衣の手順などを規定している。私は工場勤務が長かったので、現在のコンサルタント業をする前は、出社したら必ずロッカールームで社名入りの一般作業着(社服)に更衣してから自席に向かう生活をしていた。そのせいで、現職になってから着替えをせずにオフィスに入り、そのまま私服で仕事をすることが何とも言えず気持ち悪くて仕方がなかった。知らず知らずのうちに、いったん私服を社服に着替えることで、仕事が始まるのだ、という心の切り替えをしていたようだ。
 工場内では、会社から指定された社服を着ている者と着ていない者、という見た目で社内の人間と社外の人間の識別ができる。例えば社服以外の服を着ている紺色のスーツの集団や、普段見たことのない色の作業衣の者が現れれば、「いつもと違う人がいる。」と認識するのは容易だしもしかしたら外部から来た査察官か、取引先のお客様か、もしくは本社から来た偉い方かもしれない。と、神経を使うことにもなるものだ。だから社服に着替えるということには、そういう識別の意味もあるのだ。
 特にスーツ姿が集団で来ているときには、「今日は査察か何かあるのかな?」という緊張感が働いて、今日は余計な作業はしないでおこうかな・・、今はやめよう、後にしよう、などという気持ちが湧いてしまうものだ。私たちもコンサルタント業務で工場に伺う際には、皆さんのためになるように、作業の邪魔にはならないように、と心がけて訪問させていただいているのではあるのだが、私服で、スーツであるために、やはり見た目で「何か見られるみたいだ」という印象を持たれてしまうことは避けられず、警戒させてしまうようになることも致し方ないのかな、と思いながらお邪魔している。

 それはさておき、製品が無菌製剤なのか、非無菌の製剤であるのか、従事する作業が調剤や充填の工程なのか包装の工程なのか、などによっても更衣の回数や作業着そのものが異なってくる。製造エリアに入るには、外界から製造エリアに余計な異物を持ち込まないように一般作業着の社服から製造用の1次更衣に着替えて入室する。ここで一般のエリアと製造のエリアに区切りをつける。製造エリアの中でも、製品の中身や、これに触れる直接の容器を扱う場所では、さらに2次更衣への着替えが要るし、無菌の製品ならば、滅菌された作業衣に更衣が必要だ。また入退室の手順も様々で、手だけに焦点をあててみても、手洗いのみ、消毒する、手袋を着ける、さらに消毒するなど、どこまでするかは、その場所で行われる作業の内容により多岐にわたる。

 

 

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執筆者について

佐藤 小津江

経歴

1985年より4.5年間動物用医薬品の研究開発及び品質管理業務を経て、1988年より12年間、医療用医薬品(注射剤)の品質管理、研究開発とGMP整備業務に携わる。2002年より8年間、経皮吸収型製剤の分析評価業務と治験薬GMP体制整備に従事。2013年生物由来原薬、製剤、無菌原薬の製造販売業にて品質保証部業務と品質管理責任者を兼務し、2016年退職。株式会社シーエムプラスに入社。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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