β-ラクタムの封じ込めに関する動向

2022/07/08 レギュレーション

高橋 治

β-ラクタムの封じ込めに関する動向について。

2022年6月24日に米国FDAからドラフトガイダンス「Non-Penicillin Beta-Lactam Drugs: A CGMP Framework for Preventing Cross-Contamination」が公表された。

https://www.fda.gov/media/159358/download

本稿では、本ガイダンス案の【対訳資料】(2ページ目)を提供するとともに、筆者の雑感を述べる。

 

今回のFDAガイダンス案は、2013年に発出されたガイダンス

https://www.fda.gov/files/drugs/published/Non-Penicillin-Beta-Lactam-Drugs--A-CGMP-Framework-for-Preventing-Cross-Contamination.pdf

の改正案で、「I. INTRODUCTION」の末尾に現ガイダンスからの主な変更点が挙げられている。β-ラクタムの交叉汚染防止に関するFDAの考え方について、根拠となる学術論文の引用や具体的な対策例を含め、現ガイダンスより詳細に示されているが、既にペニシリン類、セファロスポリン類、カルバペネム類などを取り扱っている製造所への影響は大きくないと思われる。一方、抗菌活性の有無に関わらずβ-ラクタムの化学構造を有する化合物についても強固な交叉汚染防止を求めており、例えば、高脂血症治療剤として日本でも製造販売されているエゼチミブが対象として示されている。FDAガイダンスの改正は日本のGMPにも影響を与えると思われ、米国への輸出の有無に関わらず、非抗菌性 β-ラクタム化合物を取り扱っている製造所では、交叉汚染対策の見直しが必要になるであろう。

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執筆者について

高橋 治

経歴

株式会社シーエムプラス GMP Platform シニアコンサルタント

1987年日本鉱業(現 ENEOS)入社、治験薬GMP体制の立ち上げ、化学合成原薬の製法開発等に従事。2002年以降、住友製薬(現住友ファーマ)、持田製薬、ノバルティスファーマで品質保証部門に勤務、品質監査を含むGQP業務を担当。2013年9月にシーエムプラス入社、2014年4月に欧州化学工業連盟原薬委員会の監査員認定を取得、現在に至る。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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コメント

本多  進 / 2022/07/11

興味深く拝読しました。原文も確認します。

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