USP 医薬品用のプラスチック包装システム<661.2>

2016/11/24 包装

 最近の米国では、医薬品の品質に関係するファクターを整理して、報告されたデータから品質保証を確認しようという動きが顕著であるが、薬局方がその主要な役割を担っているようである。米国薬局方の<661>は、医薬品に関係するプラスチック全般を扱う新規の項目であり、<661.1>はプラスチックの材質、<661.2>は表記のとおりプラスチック包装、<661.3>は製造装置に用いられるプラスチック、<661.4>は医療機器に用いられるプラスチックを扱っている。

 医薬品の包装に用いられるプラスチックはバッグやボトル、カートリッジ、乾燥粉末や定量噴霧式の吸入器、ネブライザー、プレフィールドシリンジ、バイアル、カプセル剤や錠剤のビン等、多様であり、用いられるプラスチック材料もポリエチレンやポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等、さらにそれらを組み合わせた積層材のバッグや共成型の容器もある。更にこうした製品は用途に適合しなくてはならないが、単なる入れ物というばかりではなく、特殊な機能を持つ場合もある。

 こうしたプラスチックの材質は<661.1>に適合しなくてはならないが、更に包装システムとしての使用条件下で、追加の生物学的適合性や物理化学的試験、生物反応性、化学的安全性評価(抽出物、浸出物)、医薬品との適合性といった多面的な評価が必要である。生物学的適合性や物理化学的試験については、可能であれば、欧州局方やISO10993と調和していることが望ましい。

 反応性はUSP <87> (場合により<88>)に従う。物理化学試験にはUV、酸アルカリ、TOC、材質による特殊試験が挙げられており、TOCをおおまかなフィルターとして利用することが提案されている。全ての包装システムに化学的安全性評価が求められているが、評価方法についての具体的な詳細はなく、抽出物(包装材料から)は<1663>に、浸出物(薬剤から)は<1664>に従うこととされている。

 661.1及び2に従わない場合包装材料には使用できないが、他の基準に適合する方法で当局と合意したものについては使用可能であることは認識されたい。
 

執筆者について

山本 久夫

経歴 株式会社シーエムプラス GMP Platformシニアコンサルタント
1974年サッポロビール株式会社入社。ビール製造品質管理に従事後事業多角化のため体外診断薬、制癌剤の開発を行う。サッポロビール株式会社の医薬開発事業撤退に伴い生化学工業株式会社に入社。医薬品開発業務、研究管理、薬事申請業務、品質保証業務に従事後2010年3月退職。デンツプライ三金を経て2012年3月株式会社シーエムプラス入社。国内外規制情報の収集及び解析・翻訳、申請支援等を含めGMPコンサルティングに従事。
研究開発、信頼性保証、申請業務を含めた各国当局対応を通じGMPは科学的な見地からの品質の確立につきる問題であり、医薬品の進歩の足枷になってはいけないということを実感している。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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