医薬品製造所に対する査察の各規制当局動向

"新型肺炎が世界範囲で約1年間にわたり猛威を振るっているが、予防用ワクチンや確実に有効な治療薬はまだ出ていない。
 中国国内では、一応はコントロールされている様子であり、国内の製薬工場のオンサイト査察はすでに再開したが、海外では多くの国はまだ新型肺炎の伝染をコントロールができておらず、中国医薬品管理局(NMPA)が海外工場へのオンサイト査察を一時的に中止している状況である。
 然しながら、医薬品は健康、命を救う特殊な製品として、中国国内においても良い品質の医薬品への国民のニーズは高まっている。従い、NMPAが医薬品の供給を保証するために、2020年7月より、中国医薬品査察センター(CFDI, Center for Food and Drug Inspection of NMPA)が医薬品管理司の指導の下で、海外のオフサイト査察ワーキンググループを立ち上げた。オフサイト査察ワーキンググループは、各国規制当局の書面調査やリモート査察のガイドライン等の調査と分析を実施した上で、中国での医薬品査察の現状を踏まえ「2020年海外重要製品に対するリモート査察業務計画(原題:2020年境外检查重点品种非现场检查工作方案)」及び「輸入医薬品製造企業リモート査察業務手順(原題:进口药品生产企业非现场检查工作程序)」を策定し、リモート査察計画を立てた。(筆者が確認したところ、この二つの文書は内部文書であり、現段階では公開はされていない。)

 これらの文書に従い、CFDIは2020年11月23日から27日の5日間、日本とインドの生産拠点を対象に、リモート査察を実施した。5日間のリモート査察では、各査察チームが平均的に約600点の文書とビデオ資料を確認し、生産ラインと分析ラボのオンライン査察を実施したとのことである。
 現在、2製品の海外製造現場のリモート査察はすでに終了し、所見を評価しているところである。CFDIは、このリモート査察の経験をまとめ、海外企業へのリモート査察の手順や要件を改善し、状況を見ながら海外医薬品工場に対してもリモート査察を実施するとCFDIは公開した。

 中国とは対照的に、新型肺炎大流行期間に、欧米諸国の大部分はオンサイト査察をキャンセルし、主にハイリスクの製品工場に対して査察を行っている。それに、リモート査察、書面調査などの代替対策も公開した。
 FDAについては、3月から国内と海外オンサイト査察を遅延した。新型肺炎の流行状況を鑑み7月下旬から、国内工場の重要製品に対してオンサイト査察を再開するように努力していた。然し、8月に公開された「Manufacturing, Supply Chain, and Drug and Biological Product Inspections During COVID-19 Public Health Emergency Questions and Answers」によると、米国国内の承認前査察について、オンサイト査察が実施できない工場については、可能な場合、相互承認の規制当局から過去の査察レポートを入手する、工場から情報を提出するなど他のツール又はアプローチを利用して実施すると記載しているが、実際には現時点でも実施していないようで、業界から批判の声もあったようである。海外工場に対する承認前査察と臨時査察について、クリティカルミッションではないと判定される場合は、やはり一時的に遅延されるが、クリティカルミッションと判定される場合の査察は相変わらずケースバイケースで考えられている。

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