オーナーのプロジェクトマネジメント【第7回】

今回は、FSステージに続く、基本計画ステージについて記載していく。
 
参考 以前に記載した記事の目次
1.  はじめに
2.  プロジェクトステージの概要
3.  何をマネジメントするか
4.  プロジェクト計画に関連する主要な問題点
5.  プロジェクトマネジャーの役割と責務
6.  プロジェクトマネジャーの資質
7.  プロジェクトで使用することば
8.  外部への依頼範囲
9.  FS(Feasibility Study)ステージ【その1】
10. FS(Feasibility Study)ステージ【その2】

11. 基本計画(概念設計)ステージ【その1】
 第1回の表1に記載したが、基本計画(または概念設計)とは、FSにて決定したケースについて、基本設計(基本計画に続くステージ)を実施するための条件設定を行うステージである。また、FSステージを経過しないプロジェクトでは、この基本計画からプロジェクトを開始する場合もある。つまり、基本設計を開始する前に、設計およびプロジェクト遂行上の目的、予条件、前提条件を明確にしてまとめ、コンセプトの検討、設備概要の検討を行うステージである。さらにこの基本計画の成果(予算、スケジュール、設備概要等)の承認を得て、次ステージへの移行のGo/No Goの第二次評価を行うステージと考えられる。新製品の場合は、当該プロジェクトでの設計および仕様決定上の基本とする開発データ・一般データなどをまとめる(工業化研究成果のパッケージ化)ことが、同時並行で行われているステージでもある。このステージにおける検討は、主として製薬会社にて実施する場合もあれば、アライアンス契約等により外部との協働にて実施する場合もある。いずれの方法を採るかは製薬会社のリソース等の事情によると考えられる。
 
主な検討項目は(以下の項目は順不同であるが)、
  ・FSの成果物の精度アップ
   -FSで決定した生産場所について各種調査検討
   -生産規模の精度アップ、将来の生産予想等の精度アップ
   -インフラ、および試運転時や生産時の要員の検討
  ・FSステージで作成したプラント基本構想をベースに、基本計画仕様
    などのプラントの具体化検討
   -プラント方式の決定(生産方式、専用設備/マルチ設備等)
   -上記の生産規模に従い、本プラントサイズの決定

   基本計画仕様
   -プロセス設計
   -プロセスフロー
   -Preliminary P&ID
   -物質収支(製造法とタイムシート)
   -機器基本仕様
   -主要機器リスト
   -ユーティリティ構想
   -ユーティリティ消費量概要
   -配置基本計画
   -材質選定基準
   -運転方案(製造法とタイムシート)
   -インフラ計画
   等
  ・予算算出と基本スケジュール(FSステージの予算や工期の精度アップ)
  ・GMP Statementの作成(バリデーション、クオリフィケーションの方針)
  ・プロジェクト構想
   プロジェクトの構想確定、外部依頼先への契約方式範囲の検討
  ・上記を基に事業化の第二次評価を行い、次のステージのGo/No Goを決定

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