ラボにおけるERESとCSV【第13回】

はじめに
連載第12回において、PIC/S査察およびFDA査察におけるデータインテグリティ指摘を紹介した。本稿においてMHRA(英国医薬品庁)から2015年1月に発出されたデータインテグリティのガイダンス 1) を紹介する。

1. ガイダンスの概要
MHRA(英国医薬品庁)は下記タイトルのガイダンスを2015年1月に発出し、3月にはその改訂版であるRevision 1.1を発出した。
  MHRA GMP Data Integrity Definition and Guidance for Industry
  (英国医薬品庁 GMPデータインテグリティ 定義と業界へのガイダンス)
原文は16ページであり、表1に示すように前書きと各論から構成されている。各論の各項目には定義と指針が記載されている。本稿では、「前書き」および★印を付記した各論項目についてそのポイントを紹介する。
 


 
2. 前書き
前書きの概要を紹介する。

(1) 序文
・データインテグリティ(データ完全性)は、品質システムの基本である
・本ガイダンスは、原薬および製剤に関するEU-GMPを補完するものである
・データガバナンスの仕組みを品質システムに組み入れること
・データインテグリティの要件は、紙データも電子データも同じである
 
(2) データ・クリティカリティと内在するインテグリティ・リスクの規定
簡単なシステムと複雑なシステムではデータ・クリティカリティが異なる。
例えば:
・pH計や天秤などの簡単なシステムは、キャリブレーションだけを行えばよい
・複雑なシステムには、「意図した用途」のバリデーションが必要である
・複雑度が低いシステムを大目に見てしまうことがありがちである
 例えば、FT-IR、UVなどのスタンドアロンシステムにおいて、期待する結果を
 得るために、データ操作や繰り返しテストを気づかれずに行えることがある。
 
(3) データ品質とインテグリティを保証するシステム設計
以下の様な事項を考慮して、データインテグリティに適合するような方法でシステムを設計すべきである。
・タイムスタンプ時刻となるコンピュータクロックへのアクセスを制限する
・操作の近傍においてバッチ記録にアクセスできるようにしておき、一時的な
 記録を正式な記録に転記せずにすむようにする 
・データ記録用紙を適切に管理する(筆者注:ページ番号をあらかじめ印字
 した記録用紙を製本綴じしておくなど)
・データの修正を防ぐためのユーザーアクセス制限を行うか、もしくは監査証跡を
 つける
・データを自動記録するか、もしくは機器にプリンタをつける
 (筆者注:人間介在を排除し、データインテグリティを確保)
・プリントアウトが散逸しないように、作業の近辺にプリンタを配置する
・サンプリング箇所へアクセスしやすくしておく
・データ確認作業を行う職員が生データにアクセスできるようにしておく

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