ゼロベースからの化粧品の品質管理【第64回】

―新原料を活用した化粧品ビジネスへの展開に際しての留意点―

 化粧品GMPの要求事項を中心に、質管理で気になる事項についてお話をさせて頂いています。今回は、海外等で話題となっている成分を“コンセプト成分”として配合した“新規化粧品ビジネスの展開について”品質管理の視点から考えてみたいと思います。
 近年、化粧品市場では“新しい原料”を活用した差別化製品が注目されています。天然由来素材、バイオ技術原料、発酵エキス、ペプチド、ナノ素材など、新規性のある原料はブランド価値を大きく高めます。そのため、新規性のある原料を探索し、活用することが“売れる化粧品の開発において重要である“と考えている方もおられるように感じています。
 既に、“コンセプト成分”を配合した化粧品に関しては、“特記表示”に関する改訂の通達に伴い、単に原料を配合するだけではなく、製剤としての“エビデンス”が求められていることをお話しています。
 今回は、新原料を使うことは、同時に“リスクを背負うこと”でもあることから、法規制・品質保証・広告表現など、多くの守るべきルールについて品質管理の視点からまとめてみました。

1-1 新原料とは何か?
先ず、「新原料」の定義は何でしょうか?
① 医薬部外品の場合
日本では、医薬部外品で使用される原料が「既収載原料」に含まれていない場合、それは新原料として扱われます。この場合、厚生労働省への承認申請が必要になります。
当然、主剤、添加剤に限定されることなく、使用される原料全てが対象になります。
② 化粧品の場合
化粧品では承認制ではなく届出制ですが、使用前例のない原料はリスク評価が必須です。
つまり、「前例がない=安全とは言えない」ということです。この点についても、化粧品原料の基準である 「化粧品原料基準」 は廃止され,化粧品原料は一定の制限下(化粧品基準)でメーカーの責任において使用されることになりました。この規制緩和により,魅力的な素材がこれまで以上に市場に出るようになっていますが、新原料の使用について安全性や品質保証面でハードルが下がっているわけではありません。
 
 ここで私が気になる事項は、原料について基礎的な情報を把握しないで製品開発が行われているケースです。
a) 原料は、起源や工程が異なれば安全性が担保されるとは言えません。(抽出部位、遺伝子組み換え、植物種や動物種)
b) OEM/ODMの形態で化粧品の開発・製造を委託する場合、全成分リストしか入手していない場合がありますが、原料は、表示名称が同じでも、例えば、“グリセリン”でも植物由来と合成由来では不純物構成が異なります。原料の起源や製造工程により、純度や不純物、臭いや色も様々ですが、表示名称だけでは判断が付きません。実際に使用されている原料の銘柄とその使用実績を確認しなければ、安全性が担保されているとは言えません。
c) 一般的な原料のSDSデータシートを入手していたとしても、“銘柄”、“製造元”が黒塗りにされていた書類ではトレーサビリティが確保できません。使用実績やグレード、品質規格書の確認は必要と考えます。但し、提示される品質規格書が一般的な化学工業品として保証項目だけとすると、化粧品原料としては不十分です。“尿素”の品質規格書が“肥料用”のスペックしか提示されていないとする、化粧品として使用して良いとの判断はできません。

 

 

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