現場管理者・監督者へのメッセージ(GMPの3原則から)【第16回】

10.8.システム(8)品質管理:
10.8.1.品質管理システム
 ここでいう「品質管理」とは、GMP省令の第11条「品質管理(第1項第1~6号)」に規定する業務、いわゆる品質管理試験室(QCラボ)業務を指している。
 すなわち、「(1)検体採取と記録の作成保管、(2)検体の試験検査と記録の作成保管、(3)参考品の保管、(4)試験設備機器の点検整備と記録の作成保管および計器の校正と記録の作成保管、(5)試験結果の判定と結果の製造部門への文書報告、(6)その他品質管理のために必要な業務」などである。
 特に、GMP施行通知(改正) 第3章「第3逐条解説」の11.(8)項にPIC/S-GMPガイドとの整合性を図るため、(GMP省令第11条第1項第6号の)「その他品質管理のために必要な業務」について、「(ア)参考品の保管(最終製品だけでなく、原料および品質確保に係わる資材も含め)および最終製品の保存品の保管、(イ)安定性モニタリング、(ウ)原料等の供給者管理」などが新たに細かく記述されているので、参照願いたい。
 また、「医薬品・医薬部外品GMP試験検査室管理指針」(17年度分担研究報告書WEB掲示版19年5月 添付資料3)を参照願いたい。この“指針”は「GMP省令の規定に基づく品質管理として適切な試験検査業務を実施し、又は外部試験検査機関等に対し適正に試験検査業務を実施させる上で推奨される事項を可能な限り具体的に示すことを目的」として作成されている。

<品質管理基準書>
 前述のGMP省令第11条「品質管理」に規定する業務を遂行するために取り決めるのが“品質管理基準書”である。GMP施行通知(改正) 第3章「第3逐条解説」の8.(10)項に「品質管理基準書」の具体的な記載事項(ア~ス)が示されているので参照願いたい。「(ア)検体採取、(イ)検体の試験検査、(ウ)試験検査結果の判定、(エ)製品の参考品の保管、(オ)試験設備機器の点検整備と計器の校正、(カ)製造部門からの製造管理結果の確認、(キ)原薬に係る製品の参考品の保管、(ク)生物由来または細胞組織医薬品に係る製品の参考品の保管、(ケ)安定性モニタリング、(コ)標準品・試薬試液等の品質確保、(サ)再試験検査を必要とする場合の取扱い、(シ)生物由来医薬品等に係る製品を製造する場合の事項、(ス)その他品質管理に必要な事項」と記載されている。
 品質管理試験室(QCラボ)の“品質管理”は、製造部門の“製造管理”の本質と同じであると考える。基本的な知識や技能を持った試験分析者であれば、誰が試験分析を行っても同じ結果が得られなければならない。試験機器の点検整備と計器校正、試験操作法の制定、検体の受入・保管、試験検査の指図・記録、教育訓練などは“製造管理”と共通する管理事項である。
 ただし、製造工程と比べて取扱う検体や標準品等が微量であり、それだけに受入検体や標準品の保管方法(吸湿防止)、天秤室の環境(温湿度、防振策)や天秤の精度(校正)、および秤量・溶解・希釈・ろ過操作などで不具合があると直ちに試験結果に反映される。当然ながら製造管理よりもデリケートな作業管理が要求される。また、同じ試験室内の各試験台で異なった製品や複数ロットの試験検体を取扱うため、表示・識別や試験用器具類や測定機器装置の切替え洗浄あるいは専用化などの対応により製品・ロット間の相互汚染防止に留意する必要がある。

<規格外試験検査結果(OOS)>
 試験検査で悩ましいのが規格外試験検査結果(OOS)である。特に出荷を控える製品の規格外試験検査結果(OOS)は、出荷予定日までの短期間のうちに原因調査・処置対策を講じなければならない。このため、品質部門は関係部門と連携し規格外試験検査結果(OOS)が得られた場合の“試験エラー有無”を検証するための原因調査と処置対策の“手順書”を定めておく必要がある。
 手順書に従い迅速・効果的に原因調査を進めるためにも、検体採取から試験検査結果が得られるまでの各ステップで全ての記録やログブックの記録とその保管が重要となる。
 前述の“指針”でも「試験監査を実施する全ての場合において、理由なく検体の再採取又は再試験検査を行ってはならないこと。正式な指図に従い、検体の採取を行う場合にはその理由を、検体の再試験検査を行う場合においてはその理由及び試験検査結果に基づく対応について記録を作成するものとすること。」と記述されている。
 拙速な原因調査結果に基づく追加/再試験検査の“好都合な結果“に基づき安易に「試験エラー」と結論づけることは危険であり、一方“不都合な結果”に基づき安易に再調査や再採取・再試験検査を繰り返すことも、規格外試験検査結果(OOS)を積み重ねるだけのことになり兼ねず、益々「最初の規格外試験検査結果」を棄却する論拠が無くなってしまう。緻密な原因調査、慎重な判断と適格な処置対策が求められる。

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