医薬品GMP理解の第一歩【第2回】
2019/12/20
品質システム

1.はじめに
前回はGMPを医薬品の品質を保証するシステム(品質システム)であると見なすことの重要性と品質システムの考え方の基本となるISO9001についてご説明しました。今回はISO9001をベースに医薬品の開発から製造・品質管理全般を包括し、継続的改善を推進する指針である「医薬品品質システムのガイドライン」(ICH Q10、以下Q10)を解説したいと思います。
このガイドラインは国際的にはICH Q10と呼ばれ、わが国では2010年に通知として発出されました。ちなみにICHとは医薬品規制調和国際会議と訳される組織で、もともと医薬品の開発と承認申請の効率化、国際調和を目的として、日米欧の3極で設立されました。現在は世界中の多くの国と機関が参加しています。Q10とは品質分野(Quality)の10番目のガイドラインということになります。GMP関係では、7番目のQ7が「原薬GMPのガイドライン」として知られています。
・医薬品品質システムのガイドライン(ICH Q10):
審査管理課長, 監視指導・麻薬対策課長:医薬品品質システムに関するガイド
ラインについて, 薬食審査発0219第1号・薬食監麻発0219第1号,
平成22年2月19日
Q10が制定された背景としては、工場(製造所)のみを対象としたGMPだけでは医薬品の品質を保証できない、このため、会社(経営者)としての責任や製品開発と生産工場間の技術や知識の共有など、これまでGMPに含まれていなかった観点が必要である、という考えがあります。
Q10はコンセプト中心の内容のため、いささか難解?と思われますので、以下にその要点をご説明することにします。
2.製品ライフサイクル
Q10は製品のライフサイクル全体を対象とします。製品ライフサイクルとは、①医薬品開発 ②技術移転 ③商業生産 ④製品の終結、という4段階を意味します。いわば、医薬品の揺り籠から墓場まで、ということです。この4段階、製品ライフサイクルの全体を通して、品質システムを構築し、維持することで、Q10の目的が達成されます。
それでは、Q10の目的とは何でしょうか。それは、①製品実現の達成 ②管理できた状態の確立及び維持 ③継続的改善の促進、であるとされています。難解ですね。私流に読み替えれば、過去と現在における品質システムの構築と維持の状況を振り返り(②)、課題を抽出することによって未来に向けて改善を行い(③)、そういう作業によって最終的に製品の品質を確保する(①)ということになるかと思います。
3.経営陣の責任
工場のみならず、経営陣という会社そのものの責任が求められているのがQ10の大きな特徴の一つです。まず、経営陣とは誰のことを指すのでしょうか?経営資源(人、物、金)を管理できる立場の方が経営陣と言えます。具体的には、社長や生産あるいは品質保証担当の役員がそれにあたります。工場レベルでは工場長を経営陣の一人と考えることができると思います。
Q10では経営陣の責任としていくつかの事項が挙げられているのですが、特に品質システムの構築と維持に最終的な責任を持つということが一番の責任と考えられます。経営陣が品質方針と品質目標を示すことを起点として、会社全体の品質システムの構築が図られねばなりません。
前回はGMPを医薬品の品質を保証するシステム(品質システム)であると見なすことの重要性と品質システムの考え方の基本となるISO9001についてご説明しました。今回はISO9001をベースに医薬品の開発から製造・品質管理全般を包括し、継続的改善を推進する指針である「医薬品品質システムのガイドライン」(ICH Q10、以下Q10)を解説したいと思います。
このガイドラインは国際的にはICH Q10と呼ばれ、わが国では2010年に通知として発出されました。ちなみにICHとは医薬品規制調和国際会議と訳される組織で、もともと医薬品の開発と承認申請の効率化、国際調和を目的として、日米欧の3極で設立されました。現在は世界中の多くの国と機関が参加しています。Q10とは品質分野(Quality)の10番目のガイドラインということになります。GMP関係では、7番目のQ7が「原薬GMPのガイドライン」として知られています。
・医薬品品質システムのガイドライン(ICH Q10):
審査管理課長, 監視指導・麻薬対策課長:医薬品品質システムに関するガイド
ラインについて, 薬食審査発0219第1号・薬食監麻発0219第1号,
平成22年2月19日
Q10が制定された背景としては、工場(製造所)のみを対象としたGMPだけでは医薬品の品質を保証できない、このため、会社(経営者)としての責任や製品開発と生産工場間の技術や知識の共有など、これまでGMPに含まれていなかった観点が必要である、という考えがあります。
Q10はコンセプト中心の内容のため、いささか難解?と思われますので、以下にその要点をご説明することにします。
2.製品ライフサイクル
Q10は製品のライフサイクル全体を対象とします。製品ライフサイクルとは、①医薬品開発 ②技術移転 ③商業生産 ④製品の終結、という4段階を意味します。いわば、医薬品の揺り籠から墓場まで、ということです。この4段階、製品ライフサイクルの全体を通して、品質システムを構築し、維持することで、Q10の目的が達成されます。
それでは、Q10の目的とは何でしょうか。それは、①製品実現の達成 ②管理できた状態の確立及び維持 ③継続的改善の促進、であるとされています。難解ですね。私流に読み替えれば、過去と現在における品質システムの構築と維持の状況を振り返り(②)、課題を抽出することによって未来に向けて改善を行い(③)、そういう作業によって最終的に製品の品質を確保する(①)ということになるかと思います。
3.経営陣の責任
工場のみならず、経営陣という会社そのものの責任が求められているのがQ10の大きな特徴の一つです。まず、経営陣とは誰のことを指すのでしょうか?経営資源(人、物、金)を管理できる立場の方が経営陣と言えます。具体的には、社長や生産あるいは品質保証担当の役員がそれにあたります。工場レベルでは工場長を経営陣の一人と考えることができると思います。
Q10では経営陣の責任としていくつかの事項が挙げられているのですが、特に品質システムの構築と維持に最終的な責任を持つということが一番の責任と考えられます。経営陣が品質方針と品質目標を示すことを起点として、会社全体の品質システムの構築が図られねばなりません。
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