医薬品モノづくり現場の履歴書【第6回】
本連載は、製薬企業での工場長経験者より、次世代を担う皆さんに贈る「生きた教科書」を目指します。マニュアルや計算式だけでは語れない現場のリアルな教訓をお伝えするため、経験談をベースに、関係者や特定ケースが分からないよう創作を交えた「読み物」としてお届けします。
また、本連載は異なるキャリアと専門性を持つ2人の元・工場長による二つのストーリーを交互に掲載します。
(1)『失敗から学ぶ現場学』(執筆者:南都下 史朗)
(2)『モノづくり人生の哲学』(執筆者:モノづくり伝道師)
アプローチは異なりますが、2人に共通するのは、モノづくり現場への「深い愛」と、プレッシャーの中で奮闘する皆さんへの「熱いエール」です。
この記事を読んだ後、隣のメンバーや、グループ内で意見交換するなど、コミュニケーションのツールとして利用いただけると嬉しく思います。
今回は『モノづくり人生の哲学』のスタートです。
「モノづくり」人生の哲学
第3回:工場の「モノづくり」実践編
「医薬品モノづくり現場の履歴書」の第6回は再び‶モノづくり伝道師″の私から「モノづくり人生の哲学」第3回として、「工場の「モノづくり」実践編」をお送りします。
この実践編では、現場スタッフとして、少しずつ現場の戦力になっていく過程で経験したことや学んだことをお伝えします。
【工場の「モノづくり」実践編1話】
研究所から工場製剤部門に配属されて1年が過ぎようとした頃には、ほぼ現場の仕事の流れが理解できてきました。スタッフの仕事にも慣れ、課に所属する仲間の顔と名前、人柄も分かるようになりましたので、いよいよ気になることに取り組むことになります。
多くの現場担当者が、複数の生産ラインで多数の製品を同時に製造している所属部署では、日々、安全作業とGMPを遵守しながら製造していても、程度の差こそあれ、どこかで何らかの問題やトラブルが発生しています。生産の忙しさに追われる中、その都度、チームリーダーや技術スタッフは、その応急処置(GMP基準ではCAPAの是正処置)にあたります。そしてまた、次の問題に向かいます。発生したトラブルがチョコ停程度(ちょっとした原因で数分停止し復旧できる)で慢性化しなければ良いのですが、潜在的に大きなトラブルになる恐れがある問題は、根本原因の究明と対策が必要になります。トラブルの中には、分かっていてもなかなか手が回らないちょっとした問題や気づかない、あるいは、仕方がないと思って放っておかれるロス・ムダもあります。このような問題は、直接関わっている担当者では、日頃なかなか気づかないものですので、第三者的に客観的に見ることができる私の役目ではないかと思い始めます。そして、そのような課題に対して、現場の担当者が適切に対応できる現場力を高めることが重要ではないか、そのために何ができるかを思い描くようになります。
一方で、60名を超える課の仲間たちに目を向けると、日々の生産は製造指図書に従って、淡々と製造を繰り返す毎日で、比較的変化が少ない業務です(GMPを遵守する医薬品製造では、むしろ変化があっては、いけないのかもしれませんが・・・) 。また、年齢も若い従業員から年配のベテラン社員まで、男女さまざまで、スキルもバラバラです。ややもするとマンネリ化しがちになる業務を毎日淡々と行うため、現場担当者の中には、そのような仕事に向いている人もいますが、問題意識を持っている担当者には、改善に向かう意欲を高めたり、動機づける何かキッカケを作ったりできればと思います。
そこで、先程触れましたこの現場で感じ始めた気になる問題と問題意識を持って改善に向かう機会が少ない現場担当者を結び付ける現場改善とモチベーション向上の仕掛け作りに向かいます。
※今だから言えるのかもしれませんが、この仕掛けは、一人ひとりの現場担当者の現場力を養い、チームで様々な問題に向き合うことで、組織全体の「モノづくり」のQ(Quality)、C(Cost)、D(Delivery)のパフォーマンスレベルを高めることができます。
コメント
/
/
/
コメント