ゼロベースからの化粧品の品質管理【第72回】

―化粧品市場のグローバル化に伴う品質管理体制の再構築―

 化粧品の品質管理について、ISO22716に基づく体制整備についてお話させて頂いています。その中で、前回は最も基本である“衛生管理”について、GMPの要求事項は盛り込まれているものの、実務面で見た場合に規定内容が品質リスク面から考えると疑問を感じた事項について紹介させて頂きました。
 今回は、化粧品市場のグローバル化に伴い、品質保証体制に求められる範囲は大きく拡大していることを踏まえて、変化している品質管理体制について説明致します。

1.    ISO22716の品質保証体制を取り巻く環境
 ISO22716:2007は化粧品GMPの国際規格として、人・施設・設備・原材料・製造・試験管理・包装表示・保管・出荷に至る一連の管理を体系化した優れた枠組みですが、微生物管理をはじめとする周辺のISO化の整備は進んでいるものの、改定の議論は行われたものの改定されずに現在に至っています。
 ISO22716の適用範囲は製造現場における適正製造基準にとどまっており、研究開発活動や完成品の流通、更には、市販前安全性評価、市販後の有害事象監視、環境・包装規制対応までは要求がありません。
 一方、EUではRegulation(EC)No 1223/2009に基づく安全性評価に加え、2025年5月には規則(EU)2025/877により附属書II・IIIが改正され、CLP規則に基づき新たに特定された発がん性・変異原性・生殖毒性(CMR)物質20種類以上が2025年9月1日付で禁止・制限リストに追加されました。
 更に、2026年8月12日からは包装・包装廃棄物規則(PPWR、Regulation(EU)2025/40)が適用され、包装材のリサイクル容易性や再生プラスチック(PCR)含有義務が化粧品企業にも課されています。EUでは更に各国の規制が上乗せされると共に、ISO22716を取り巻く微生物保証関連の事項等、ISO22716を取り巻く品質保証の要求は続々と強化されています。
 また米国では、MoCRA(Modernization of Cosmetics Regulation Act of 2022)により、施設登録・製品リスティング・安全性の実証(NAIST)・重篤な有害事象報告・香料アレルゲン開示が義務化され、FDAの監督権限が大幅に強化されています。中国でもCSAR(化粧品監督管理条例)を基本法として、2025年11月にNMPAが公表した改革方針により2030年までの規制高度化ロードマップが示され、2026年2月からは電子ラベル(e-label)の試行運用が北京・上海・広東等で開始されるほか、化粧品原料使用情報データベースの収載成分が3,608種類まで拡充されています。

 

 

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