行政と現場で紡ぐ品質文化 ~「医薬品製造業者等の品質保証体制強化」とその先へ~【第5回】
■対談者:
• 橋本 明日香(奈良県庁 薬務行政担当)
• 田中 良一(株式会社シーエムプラス シニアコンサルタント / 元厚労省GMP指導官・元京都府庁)
■実施日時:2026年3月19日(木)
■実施場所:株式会社シーエムプラス(神奈川県横浜市)
■第5回:QAへの支援
田中: 少し話が変わりますが、奈良県の企業では昔からQA(品質保証)とQC(品質管理)の部門は明確に分かれていたのでしょうか?
橋本様: 現在でも兼任しているところも多いですが、体制整備も進み、QAを独立・基本にする形も増えてきています。
組織図的にも明確に分かれてきているように感じます。
田中: QA担当者というのは、製造現場に細かく指示を出さなければならない立場上、現場から嫌がられたり、煙たがられたりすることはありませんか?
逆に頼られていると感じる企業もありますか?
橋本様: 両方ありますね。
頼られているなと感じるQA担当者の方は、やはり「コミュニケーション能力」が高いです。
「現場をより良くする」という目的の伝え方が上手い方は、現場に受け入れられています。
一方的に「こうやれ」と指示するのではなく、「こういう理由があるから、こういう風にやってもらえませんか?」と提案できる方は、信頼関係が築けています。
田中: QAがしっかりと機能している企業は、製造部門やQC部門を裏でしっかり支えてくれていますよね。
ただ、経営層からはどうしても「QAは直接的な生産性(利益)を生まない部門」、いわゆるコストセンターとして見られがちです。
資源(リソース)もなかなか割いてもらえず、社長から「うるさいな」と煙たがられてしまうQA担当者もいて、可哀想に思うことがあります。
橋本様: そうですね。
QAの役割の重さがあまり理解されていないケースはあります。
不良品を出さない、苦情を受けないように未然に防ぐという「見えない成果」を出しているのですが、直接的な生産能力向上としては見えにくいため、評価されにくい面はあると思います。
田中: 逆に、QA担当者が重宝されている、評価されている企業はどのような雰囲気なのでしょうか?
橋本様: そのような企業は、経営層がQAの役割の重さをしっかりと理解していて、現場にもそれが伝わっています。空気や会社風土が全然違いますね。
田中: そうした企業のQA担当者は、もともと製造現場の出身だったりするのでしょうか?
橋本様: ええ、製造現場から管理者になられた方も多いです。
一方で、営業畑など全く違う部署から来られた方がトップにいる場合、客観的に「QAがしっかり回っているからこそ、苦情が減って会社が守られている」と理解して評価しているケースもあります。
田中: 営業部門は、不良品が出たときにお客様から直接怒られる立場ですからね。「QAがしっかりしているから自分たちが営業できる」と理解しているトップがいると、QAも働きやすいでしょうね。
橋本様:能力が高いQAがいる企業は、お客様からの見え方(信頼度)も全く違ってきます。
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