知的創造性を革新する組織と空間実現のメソッドプログラミング【第3回】


組織の重要性について少し話を述べます。
 
組織構造の進化
如何に優れた情報、知識を個人が持っていても、それだけでは革新的成果は生まれにくいのです。組織の中を流通することで高度化され、その中から革新的成果が生まれる可能性が高まるのです。野中教授の知のスパイラル理論等が1つの例です。
組織構造とは基本的に情報交換(コミュニケーション)のフレームワークであります。


これは時代の経過と組織の構造の進化を表したものです。
ごく初期は限られた人数の個人の集団です。個人、個人の情報交換はありますので、
個人集団として、情報を伝達するための組織構造は必要がありません。
しかし、集団が大きくなり情報が多様化すると、情報を伝えるための組織化が必要となります。支配者が大勢の人に情報を伝えるためにこのような固定的な階層組織が形成されたのです。
組織といえば多くの人がこの固定的階層組織をイメージします。固定的階層組織では上位階層の情報を下位階層への伝達には都合が良いが、同位階層同士の情報の交換、或いは階層全体の情報の共有には都合よくありません。AとBの情報伝達にはかなり遠回りをしなければなりません。誰が情報を持つと都合が良いかが組織構造の課題です。固定的階層組織ではトップが情報を独占する構造になっています。
 
情報技術の飛躍的発展により、必然的に誰もが同じネットワークの一員になります。情報組織は広い個人の分散ネットワークになり、情報の量とスピードが飛躍的に増大しました。さらに加速されます。個人の能力で情報を処理して高度化できる人達には都合の良い情報環境ですが。それだけは人間社会の組織構造ができません。
分散ネットワークは、初期の個人の集まりの拡大と情報量と伝達スピードを飛躍的に増大させましたが、個人から組織への社会システムを創り出したわけではありません。
しかし、限られた情報の垂直伝達の機能しかない固定化階層組織では、この広大な水平伝達の機能の分散ネットワークの個人情報の量とスピードに対応することはできません。今複雑で多様な情報環境に対応するためには複雑で多様化した組織構造が必要です。(ロス・アシュビーの必要多様性の法則)

 複雑な情報環境に対応する創造的な組織構造の創出
複雑な研究環境に対応するには、分散ネットワークの個人情報だけでは限界があります。多様化した情報の処理を必要とする研究開発事業は、複数の研究を連結した複合化システムになります。複合化システムに対応する組織は有機体の組織構造と同じく階層構造にならざるを得ません。この階層構造組織は固定的階層組織ではなく、上位階層の決定を遵守するが、各階層で意思決定をする準分解型の階層構造組織であります。各階層の意思決定が、次第に相互の尊重の垂直のネットワークになり、やがて階層組織全体の総合的な意思決定になります。


研究環境の複雑化により進化した組織構造
一般的に階層構造組織とは上下関係にある階層によって構成された組織ですが、複合化システム対応の階層化構造組織は、各々の階層の水平分散ネットワークと、上下階層の緩やかな垂直統合ネットワークで構成された準分解可能な階層化組織構造であります。この組織構造の意思決定は各々の階層で行いますが、上下の意志を尊重する相互信頼の関係が出来上がり、全体の意志決定は同時に各階層の意志決定になります。
これは階層の共進化という現象で、創造的組織への進化です。複雑系の事業組織の構造は必然的にこの組織構造となり、同時に総合信頼の組織文化を醸成します。
社会の複雑な生態的変化を予測し、その変化に対応した事業や製品を創造できる、組織能力や組織行動ができる組織構造が、この準分解可能な階層化組織なります。

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