製薬メーカーにおけるコア人財の育成【第10回】

 2. 多様性のマネジメント 「多様化こそ企業発展の原動力」
  2.4 グローバル化対応
 
 今回からは、「グローバル化対応」というテーマで話を進める。
「グローバルビジネス」の定義を行い、つぎに、「グローバル人財」の理想像を描き、その理想像に向けての人財育成を考えてみる。
 
2.4 グローバル化対応
 2.4.1 グローバルビジネス
 
 グローバル化の概念は近年普遍化しているが、より正確な定義を試みたい。グローバル化には、多様化に向かう要素と普遍化に向かう要素がある(図1)。多様化に向かうのは、文化と言っても良い要素であり、ヒトそのものである。すなわち、「性」、「国籍」、「人種」、「年齢」、「言語」、「宗教」等々であるが、新たにヒトが加わることによって多様性が増してくる(「製薬メーカーにおけるコア人財の育成 第7回」参照)。一方、普遍化に向かうのは、文明と言っても良い要素であり、モノ、カネ、情報であり、具体的には経済活動、ビジネス、制度、ルールなどを指す。グローバル化が進展することによって多様性を持ったヒトが登壇するが、どのような背景を持つヒトに対しても統一した決め事が必要である。
 
図1 グローバル化とは
 
 グローバル化を阻む好例として、各国間の学年及び会計・事業年度の相違を「表1」に示す。この表からは、日本の制度は世界の中で一般的とはいい難いことがわかる。
 学年については、東京大学での秋入学に関する論議が賑やかであったし、そして、秋入学となった場合にギャップ・イヤー(Gap year)、すなわち、高等学校卒業から大学入学まで、あるいは、大学卒業から大学院進学や就職までの期間を英語圏の大学のように大学では得られない経験をすることが検討されている。そもそもこれはイギリスで始まった制度であるが、日本では休学・休職期間を得るなど、適用を広げて検討が進められている。この時期にアルバイトなどをして今後の勉学のための資金を貯める人も多い一方で、外国に渡航してワーキング・ホリデーを過ごしたり、語学留学したり、あるいはボランティア活動に参加し見聞を広めたりする人も多い。日本では、ギャップイヤー・プラットフォーム(Gap Year Platform)という組織が中心となって検討を進めている。なお、会計・事業年度については、外資系を中心に親会社に合わせた年度を採っているところもある。
 
表1 School Year & Fiscal Year

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