日本の製薬業界の未来を考えたい【第2回】
■当局での経験談:はじめての立入検査
入職して約1か月間の中央研修を終え、いわゆるGMP当局に配属された私は、まず「薬事法を読め」と言われ、電話帳のように分厚い薬事法と施行令、施行規則などが盛り込まれた本を手渡されました。右も左もわからない状態でほったらかしなので、2~3日ほどその本を読んでいましたが、読み方もわからず 眺めていたかという程度で過ごしていました。当然、あの情報量ですから、多少は居眠りもしてしまうわけで……(当時はYouTubeもありませんでした)。
4日目くらいに、当時のリーダーから「化粧品輸入販売業の申請に伴う立入検査があるので、先輩に付いて行ってこい」と言われ、初めて新規実地調査(薬事監視)に同行することになりました。
当時の化粧品輸入販売業は、欧米からブランド化粧品を輸入するケースが多かったように思いますが、家族経営の小さな会社がアジアなど海外から安価な石鹸などの化粧品を輸入しようとするケースもありました。そのころの末期には「海藻石鹸」なるブームも起きていました。興味のある方は「海藻石鹸」で検索してみてください。
さて、新規開設許可の実地調査では、まず挨拶をして本日の訪問の趣旨を説明します。「本日は化粧品輸入販売業の新規の実地調査を行います。開設者の代表者はどなたですか?責任技術者はどなたですか?」と確認します。当時、責任技術者は社員さんだと思っていましたが、いわゆる名義貸し?のような方が懸念されていました。
自己紹介が終わると、申請書の内容確認に入ります。これがまた先輩によってやり方が様々で、一字一句スペースまで読み合わせをする方もいれば、許可証記載事項だけを正確に確認し、その他は「記載に間違いないですね」程度で済ませる方もいました。私のOJT卒業チェックでは、先輩に合わせて何通りかの方法で実施し、合格をもらっていました。まあ、当時は人による違いも「仕方ないなあ」と思っていました。これも監視員のセンスかと思います。
その後、現場が図面通りか、保管設備があるか、出荷可否判定前後で識別されているかなどを確認します。識別方法には、場所で分ける方法や札で分ける方法など様々です。問題がなければ、許可証の交付、法定表示、広告できる範囲など、許可後の説明をして終了となります。
初めての調査では、厳しい先輩について行ったのですが、全てを疑ってかかる調査のやり方で「これをやったら違反だから」「これもやったら違反だから」と繰り返し言っていたところ、とうとう社長さんが怒り出しました。
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