ゼロベースからの化粧品の品質管理【第59回】

 

―薬機法改訂2025年に対する化粧品製造で考慮すべき事項―

化粧品の製造および品質管理に関しては化粧品GMP(ISO22716)の体系的な整備が必要です。しかしながら、化粧品GMPは改定が従来から行われると言われつつも改定が行われていない一方、医薬品に関するGMP改訂やEUにおける化粧品用原料のGMPの要求が進んでいる等、化粧品の製造・販売を取り巻く適切な品質リスクの低減の要求は進んでいます。
2025年の薬機法の法律改訂は、主眼としては医療用医薬品です。化粧品に関しては、表示・広告運用の通知改定が直接の実務影響に止まりますが、品質・ガバナンス強化は全体潮流のため、薬機法2025年の改定の概要を理解すると共に、自社の品質保証体制について、再確認することが好ましいと考えます。
今回は、薬機法の概要について簡単にまとめると共に、化粧品の製造所、製造販売業者として対応すべき事項について考えてみました。尚、薬機法の改定については、医薬品業界の各専門家の先生方が分かり易く解説されていること、“表示・広告運用の通知”については、自治体掲示で原文・解説がされていますので、そちらを主として確認してようにして下さい。

1.2025年の薬機法改正・主要通知のポイント
医薬品の供給不足や不正事案を踏まえ、品質・安全性の確保と安定供給を強化しつつ、創薬促進や薬局機能も見直すことを目的に、薬機法が改訂されました。(令和7年法律第37号:2025年5月21日公布) 各要求事項については、公布から6か月・1年・2年・3年以内の区分段階的に施行されます。主な改定内容は以下の通りです。

●会社の責任強化:違反が重大な場合、薬事に関わる“責任役員”の交代を命じられることがある。
-(医薬品の)社内体制強化:製造販売業者に「品質保証責任者」「安全管理責任者」を“置かなければならない”と法律上明記されました。副作用情報の収集・計画(RMP)義務化の対象が拡大しています。
●安定供給の仕組み:出荷停止時の届出義務、供給体制管理責任者の設置、電子処方箋データを活用した需給モニタリング、必要時の増産要請など。後発医薬品の生産基盤を支える基金も創設されました。
●承認制度の柔軟化:条件付き承認の適用拡大、小児用医薬品開発計画の“努力義務”など。
●薬局・OTCの見直し:一部業務の外部委託や、乱用のおそれがある医薬品の販売方法の見直し(若年者には適正量のみ等)、遠隔管理下の無人店舗での一般用医薬品販売が容認されました。
 

2.化粧品に直結する新通知(約40年ぶりの更新)
法律改正の多くは“医療用医薬品・薬局・OTC”中心です。化粧品に直接影響する2025年の大きな動きは、「特記表示」通知改定です(広告・表示の運用が主眼)。

●「化粧品における特定成分の特記表示」ルールを2025年3月10日に全面見直し。1985年の古い通知を廃止し、より分かりやすい表現ルールに整理されます。
 

要点:特定成分を強調して表示する際に、
(1)“有効成分”と誤解させない、
(2)配合目的が客観的根拠に基づく、等
を満たすことが求められます(自治体サイトに原本通知の掲示・周知あり)。

<対応すべき事項>
(1) 表示SOP・チェックリストを見直し更新する。
(2) 配合目的ファイルを整備する。
(3) OEM/ODM・代理店への周知と契約の見直しを行う。
(4) 新規案件は新ルールを準拠して対応を進める。
(5) 既存は改版時に置換する。但し、期限を設けて改版することが好ましい。

 

 

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