日本の製薬業界の未来を考えたい【第1回】

■【第1回】自己紹介

 地方公務員としてのキャリアをスタートして以来、私は偶然にも最初に医薬品の製造管理および品質管理に関する国際基準「GMP(Good Manufacturing Practice)」の監視業務に従事しました。GMPとは薬剤師国家試験で「選択肢から適切な日本語訳を選ぶこと」がはじめましての経験でしたが、思いのほか早く再会することとなりました。入職当時はGMPが許可要件化する。つまり医薬品製造業許可にGMPの整備が必要となる時期でした。すでに医薬品製造業の許可をお持ちの製造業の方は、その更新時までにはGMP整備が必要となり、初めての更新調査を受ける製造業の方々は気持ちがピリピリしている印象を、当時も査察側としても感じるところでした。その後は、ざっくりですが薬局、製薬会社、商社、病院、その他医療機関をお相手に薬事監視員として長年にわたり行政の現場で仕事を経験してきました。

 また、人事異動の都合で経験した違法ドラッグ、麻薬、覚醒剤をはじめとした監視業務に加えて薬物事犯の捜査にも携わった経験があります。また、回収担当も経験し、日本から医薬品がなくなってしまわないかと早い段階から危惧していました。

 地方公務員ではあるものの特別なご縁があったということのなかで心に残っているものは、アメリカ食品医薬品局(FDA)への複数回の訪問です。あくまでプライベートといっていいかもしれません。当局の方の承諾は得ていましたが、世界のGMPやQMSに関するセミナーをFDAで受講し、世界でも最も厳格な規制機関の一つであるFDAの考え方や運用を直接学ぶ機会を得ました。アメリカでは医療が国家安全保障の一環とされており、FDAが海軍と密接な関係を持つことも非常に興味深く感じました。コロナ禍のアメリカではワクチン輸送を軍が担い、過去には大統領が重篤な症状の時はベセスダの海軍病院で医療を受けていたことからも軍の医療への関与がうかがえます。

 

 

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