【速報】中国、抗がん剤の輸入関税ゼロに!

2018/04/13 製造(GMDP)

余 知暁

中国国務院総理の李克強は2018年4月12日に国務院常務会議を主宰し、「インターネット+医療健康(インターネットで問診予約、検診結果の確認、慢性病などの再診などを行う医療サービス)」の発展措置を確定した。それに加え、海外から輸入する抗がん剤に対して、関税をゼロまで完全に免税することを決定した。
 
中国患者の負担、特に医薬品のコストを軽減し、より多くの選択肢を提供するために、国務院常務会議にて以下の事項が決められた。
 
決定一:
2018年5月1日より、抗がん剤を含む製剤、抗がん作用を持つアルカロイド類薬物及び実際に輸入する中成薬(中薬材で作られた製剤)※を輸入する際の関税をゼロまで無くすことより、実際に輸入する全ての抗がん剤の免税を実現する。また、抗がん薬の製造、輸入における増値税を大幅に低減する。
 
※中成薬、中薬…日本で言う漢方薬
簡単に説明すると、生薬を煎じるものが中薬であり、錠剤やカプセルなど製剤化したものが中成薬となる
 
決定二:
政府による集中調達・輸入する革新薬、特に臨床ニーズの高い抗がん剤を医療保険リストに収載する。且つ国際ネット通販などの措置を取り、流通におけるコストを減らすことより、抗がん剤の値段を低減する。
 
決定三:
革新薬の輸入を加速させる。臨床試験について、規定期間終了時点で審査結果が出ない場合には、認められるとみなすように、許可制度から変更する。輸入化学製剤に対して、強制的にロット毎に中国での検査はせず、企業の出荷試験結果だけで通関できるようになる。
 
決定四:
知的財産権の保護を強化する。革新化学製剤について、最大6年間のデータ保護期間を設定する。保護期間以内に、同じ製品の市販を承認しない。中国と海外で市販を同時に申請する革新薬について、最大5年間の特許保護期限を設定する。
 
決定五:
品質監督管理を強化し、輸入医薬品の海外製造現場に対する査察を増やすことより、偽薬を防ぐ。
 
決定事項の中国語原文は、中国政府網の記事を参照頂きたい。
http://www.gov.cn/premier/2018-04/12/content_5282000.htm

執筆者について

余 知暁

経歴 株式会社シーエムプラス中国リエゾンオフィス所長、GMP Platform コンサルタント。
2005年瀋陽薬科大学を卒業、同年日系大手エンジニアリング会社に入社。GMP部門のバリデーションエンジニアとして、日本において新設医薬製剤工場設立におけるバリデーション業務、DQ/IQ/OQ要領書の作成に従事。2010年上海東富龍科技股分有限公司入社。凍結乾燥機のエンジニアリング業務での通訳及び日中間における各種契約事項の調整に携わる。2013年株式会社シーエムプラスに入社。 PMDAによる中国製薬企業原薬工場GMP調査での通訳経験を複数回有し、中国語、日本語、英語と三ヶ国語を扱う。
2018年には中国CFDA(現NMPA)が主催する『日本のGMP査察システムに関する検討会』にメンバーとして参加。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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