GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第68回】

言語

1.逸脱
 認知症や失語症などの言語障害は多い。疾病だけでなく、教育現場にて、理解力なども問題となっている。閉じこもりや引きこもりなど、心身の活動力をなくし、寝たきりに墜ちることや人との校了を嫌い、家に閉じこもることも問題となっている。働く現場においても従事者のレベルや環境に差が生じることも多い。
 医薬品製造業のGMP管理における逸脱で作業者の手順の間違いを起こすことは多い。教育訓練の不足や手順の伝達の未実施などが報告される。薬事法上の違反が目立っているが、その多くに作業者の手順の誤りが述べられている。講演会の実施後、参加者の理解力に差が生じていると思うこともある。作業方法や試験方法、記録の記載方法など、その言葉を聞いていたとしても、その方法を理解していないことが多いと思われる。私も疾病して、言語障害となった。例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジと動物の名称を忘れ、その動物の絵などを見ても、名称を言えない状態になった。鉄道の名称、その駅名なども忘れていた。作業の現場にいたなら、その設備の名称や作業の名前を忘れていることだろう。言語の回復を目指して、新たな文書の作成や発病前に作成した文書を読み返し、自分が行ってきた作業などの名称を思い出し、再度、称えることができるよう努めている。作業する現場で、逸脱が起きた時、その担当者が理解できていたのか確認をすべきである。また、逸脱を予防するために、作業者のそれぞれの理解力を把握し、理解の徹底を図らなくてはならない。
 子供たちの学校における身体能力や知識格差などが問題となっている。人は、体力、言語、知識など一律ではない。製造現場などで、どの職員も一律に作業が可能であるかを見極める必要がある。査察時に、pH測定器のキャリブレーションの手順と記録がなく、指摘したことがあった。その時、責任者からの回答は、担当者にはその知識があり、測定の都度、キャリブレーションを行うこととするよう伝えてあるとのことだった。本当にその知識があるか確認したといいつつも記録になければ、知識があるかどうかが不明である。作業現場において、技術面等の知識があるか、教育をするのか、すでに知識があるのを確認するなど、作業者の状態は、その都度、確認して記録を作成する必要がある。それは、人によって、知識に差があるのは当然だからである。
 人は、体調や環境などによって、その知識を忘れることや、思い違いを起こすなど変動することがある。私自身も、病気となり、言語障害となった。復活させることも訓練で可能だが、認知症などの場合、脳細胞の障害で、障害の進行をなくすことが可能であっても、失った能力を回復できないケースもある。製造現場や品質管理部門において、逸脱が生じた時に、ヒューマンエラーの発生が原因であっても、教育訓練不足など同一の状況の繰り返しでないことが多い。ヒューマンエラーが発生したとして、その作業者の体調や環境、その時の精神状態など、状況を検証して、各作業者の業務に対する理解度を検討する必要がある。講座講演を行い、受講者の質問を受けると、受講者一人ひとりで理解力や興味を示す点に差があると感じる。教育訓練のレベル格差を探るのではなく、体験者の理解度を確認し、作業の効率化を図るべきである。逸脱防止が、各作業者の知識の向上につながるよう設定する必要がある。
 

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