WFI製造プロせすへの思い【第9回】

9.ROによるWFI製造の試み

 蒸留器によるPyrogen除去能力に対して懐疑的だった日本の注射剤製造現場の人達は、WFIを安全に製造する目的で、蒸留器の前段でPyrogenを除去する手段を検討しました。先ず、ROによる膜分離が検討されました。今回は、ROによるWFI製造とその問題点についてお話しします。
 
1. イオン交換塔による精製水製造
 精製水はイオン交換塔によって製造するのが一般的でした。ROやEDIが製薬用水製造に採用されるのは、もう少し後のことです。
 イオン交換塔は、原水中のイオン成分が吸着飽和すると再生しなければなりません。再生せず通水を続けると、原水中のイオン成分が流出し精製水は純水ではなくなります。ちなみに、このイオンリーク現象を検知するのに、導電率計がイオン交換塔出口配管に取り付けられていました。
 JP16改正(2011年)はそれまで精製水に対して、要求していた理化学試験項目9項目を削除して、この導電率試験と有機体炭素試験を採用しました。この導電率はイオン交換塔出口に従来から取り付けられ、イオン成分総量を検知する指標として使われてきました。
 
2. 蒸留器にも導電率計が付けられている
 蒸留器出口には、必ず導電率計が取り付けられていますが、疑問を持たれたことはないでしょうか?
 現在は蒸留器に対して脱イオン機能は求めていません。蒸留器へはイオン交換水やRO+EDI処理水が通水されているからです。具体的に日本のWFI製造現場では、0.2~1.0μS/cm at25℃範囲の導電率値を示す精製水が蒸留器に通水されています。
 三極(日米欧)薬局方におけるWFIへ求められる導電率値を流入水の段階でクリアしていることになります。蒸留器の役割は脱イオンではないのです。本来の役割を示すことがないパラメータが、あたかもその機能を示しているように表示されている。ここに、蒸留器によるWFI製造を精査するポイントの1つがあると思います。
 
3. 流出する微生物とPyrogen
 イオン交換塔からは純水が流出しますが、この栄養分が少ない純水中でも微生物が生育していることが調査によって判ってきました。
 通常、イオン交換塔は酸やアルカリ剤で再生しますから、この操作が殺菌作用となり、製造直後は無菌に近い状態が維持できるのです。
 ところが、純水タンクや純水ポンプ中には、微生物が存在し続けていることが判ってきました。イオン交換塔から流出する微生物を、膜装置により排除すれば、結果的に微生物の細胞壁や代謝物から発生するPyrogenを排除し、蒸留器へPyrogenを流入させないことを目論んだのです。この話は、本シリーズ「7. 蒸留器へ疑問の持つ人達の存在」で触れました。


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