ラボにおけるERESとCSV【第22回】

3-11. 製造管理記録を手書き署名ではなく電子署名してよいか?
■ガイダンス要旨
▷ 電子署名が適切に管理されているのであれば、CGMPが求めるあらゆる
  記録に対し、手書き署名やイニシャルに代え電子署名を使用してよい。
▷ 211.186(a)は「フルネームの手書き署名を規定している。このフルネーム
  署名要求の意図は1978年9月29日付けの連邦官報(43 FR 45069)に
  説明されているように、記録の署名に責任がある個人を明確に特定する
  ためである。
▷ 署名と対象の記録とをしっかりリンクする電子署名が適切に管理されて
  いるなら、その電子署名はフルネーム署名の要件を満たすことができる。
▷ このことは、電子署名に手書き署名と同等の法的拘束力を与えるための
  基準を定めているPart 11と整合する。
▷ 電子署名を使用する企業は、記録に電子署名する個人を確実に特定でき
  るような管理を文書化しておくこと。
▷ PET CGMP 規制(21 CFR Part 212)には、手書き署名の要求事項はない。
 
■解説
▷ Annex 11
バッチ証明書の発行やバッチリリースにコンピュータ化システムを用いる場合、
電子署名を使うよう規定されている(15.Batch release)
▷ Part 211参照条文
§211.186(a) 製造管理記録原本(Master Production and Control Record)


3-12.電子データはいつCGMP記録になるのか?
■ガイダンス要旨
▷ CGMP記録
・CGMPの要件を満たすようにデータが生成されたときCGMP記録となる。
・§211.100(b) や§211.160(a)などのCGMP要件に適合した記録が生成された
 時点で、データを文書化するか保存すること。
・維持すべき品質データは改変されないようにすること
 たとえば
◇ クロマトグラムは、一日のテスト終了時ではなく、個々のテストが完了した
  時点で長期保管ストレージへ送ること
◇ 期保管ストレージとは、アーカイブや永久記録である
▷ データの一時記録
・紙切れにデータを記録し、データを恒久的なラボノートに転記した後にその
 紙切れを破棄するのは許容されない
 (§211.100(b)、§211.160(a)、§211.180(d)を参照)
・永久記録を生成する前に、一時メモリに操作可能な方法でデータを電子的に
 保存するのは許されない。一時メモリに自動的に保存される電子データは、
 CGMPの文書要件や保管要件を満たさない。
▷ コンピュータによるCGMP文書化
・コンピュータによりCGMPに適合した文書化を行う場合、機能と手順を
 組み合わせるとよい。
・たとえば、ラボ情報管理システム(LIMS)や電子バッチ記録(EBR)などの
 コンピュータシステムは、入力ごとに自動保存するよう設定できる。
 これは、紙のバッチ記録に各項目を即座に記録し、CGMP要件を満たす
 ようにしているのと同じである。
・コンピュータシステムに手順を組み合わせることで、データが生成されたら
 直ちに入力されるようにできる。
▷ PET製剤
Guidance for Industry PET Drugs — Current Good Manufacturing Practice
(CGMP)におけるラボ管理の節を参照。
 
■解説
▷ 紙切れにデータをメモし記録用紙に転記
この場合、データがメモされた紙切れが生データとなるので、この紙切れ(生データ)を捨てるとCGMP違反となる。査察においてFDAはゴミ箱をあさると言われているが、2013年にこのようなCGMP違反に対しウォーニングレターが発行された。
▷ Part 211参照条文
§211.100(b) 製造とプロセスの管理における手順書と逸脱(b)
§211.160(a) 試験室管理の一般要件(a)
§211.180(d) 記録と報告の一般要件(d)

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