厚労省「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」の要点(6)

2012/09/18 施設・設備・エンジニアリング

4.新ガイドラインとその解説(第5回の続き)
 新ガイドラインにおける重要な項目について以下に説明を加えた。より詳細な解説については日薬連から発行される解説書を参照して頂きたい。
 
2. 適用の範囲
このガイドラインは、コンピュータ化システムを使用してGQP省令及びGMP省令が適用される業務を行う製造販売業者等に適用する。
このガイドラインの対象となるコンピュータ化システムの例として、(1)~(7)が考えられる。また、対象外となるコンピュータ化システムは別紙2に記載する。
 
(1) 医薬品、医薬部外品の市場への出荷の可否の決定に係るシステム及び市場への出荷に係る記録を作成、保存管理するためのシステム
(2) 製造指図書、製造に関する記録等を作成及び保存管理するためのシステム
(3) 製造工程を制御又は管理するためのシステム及びその管理データを保存管理するためのシステム
(4) 原材料及び製品(製造の中間工程で造られるものを含む。以下同じ。)の保管、出納等の生産を管理するシステム
(5) 品質試験に用いる機器を制御又は管理するためのシステム並びに品質試験結果及び管理データを保存管理するためのシステム
(6) 空調、製造用水製造設備など、製品の品質に重大な影響を及ぼす可能性のある製造支援設備・施設を制御又は管理するためのシステム及びその管理データを保存管理するためのシステム
(7) 文書(手順書類、品質標準書、製品標準書等)を作成、承認、保存管理するためのシステム
 
 旧ガイドラインでは4つの適用項目からなっていたが、新ガイドラインでは新たに3つシステムが適用範囲として追加されている。また、旧ガイドラインでは適用範囲の対象外として次の「ただし書き」が書かれていたが、取り組みに混乱を与えたとして廃止されている。
 
「ただし, 使用目的が限定され, そのためのプログラムがハードウェア(コンピュータにより制御される機器及び設備を含む。以下同じ。) の提供業者によって汎用機能として固定され, パラメーターを設定することによって機能が実現されるシステムを除くものとする。」
 
 新ガイドラインではこれに相当する部分として「カテゴリ分類表と対応例」(別紙2)におけるカテゴリ3の備考欄にある「設備に合わせて仕様の設定及び機能の検証を行うことで差し支えない。」という表現としている。
図1 に新旧ガイドラインにおける適用範囲を示した。

 

図1・適用範囲における新旧ガイドラインの比較

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執筆者について

荻原 健一

経歴 株式会社シ―・キャスト 代表取締役社長。
1975年(株)横河電機製作所入社。
分散型制御システム(DCS)の開発/ マーケティング担当。その後、石油・化学のSEを経て、医薬品向けシステムエンジニア。「全社Part11プロジェクトリーダ」、医薬システムコンサルティング部長 等。
2006年から(株)野村総合研究所 ヘルスケア事業戦略研究室。上席コンサルタント 等。NRI認定ビジネスアナリスト。
2011年7月より現職 。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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