経皮吸収製剤 ~基礎から応用まで~【第10回】

2025/02/21 製剤

経皮吸収製剤の品質評価について解説する。

9.経皮吸収製剤の品質評価
経皮吸収製剤の品質評価は、処方設計、製造方法と並ぶ重要な項目である。本章では国内や海外での品質評価について述べる。

9.1 国内での品質規格項目
経皮吸収製剤として規格項目を設定する場合は、日本薬局方の製剤総則や一般試験法、ICHQ3、Q6Aなどの公定書やガイドラインに記載されている項目を参照することになる。
一般的には、
含量規格
性状
確認試験
示性値(pH調節剤を処方している場合など)
純度試験
製剤均一性(主に全身作用の経皮吸収製剤)
形状試験(主に局所作用の貼付剤)
質量試験(主に局所作用の貼付剤)
粘着性
放出性
微生物限度試験(必要に応じて)
定量法
などがあげられるが、製剤の特性や品質保持の観点から、また、全身作用の経皮吸収製剤か、局所作用の貼付剤かも考慮して、必要に応じて規格項目を考える必要がある。
上記の規格項目で、特に経皮吸収製剤として特有な規格項目は粘着性と放出性である。これらはいずれも,2016年4月に施行された第17改正日本薬局方に「粘着力試験法 〈6.12〉」と「皮膚に適用する製剤の放出試験法 〈6.13〉」として収載された1)が、粘着力試験法についてはすでに日本産業規格(JIS)や医薬品製造販売指針を参考に多くの経皮吸収製剤で実施されていた。

 

 

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執筆者について

山内 仁史

経歴

1981年第一製薬株式会社(現第一三共株式会社)に入社。研究所 製剤研究センター配属となる。株式会社ディ・ディ・エス研究所、埼玉第一製薬株式会社研究部に出向し、その後ニプロパッチに転籍。研究開発部長、ビジネス開発部長、春日部工場長を歴任。ニプロファーマ株式会社品質保証部参与を経て、現在は公益社団法人日本薬剤学会事務局顧問。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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