知的財産の基本から知財ミックスまで【第32回】

2025/02/21 その他

商標の登録要件―公序良俗違反について説明をする。

商標の登録要件―公序良俗違反

 こんにちは、弁理士法人ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。
今回は商標の登録要件の一つである公序良俗違反について説明します。

1.    商標法第4条第1項第7号
 商標法第4条第1項第7号は、公の秩序または善良な風俗を害するおそれのある商標は登録できない旨規定しています。
 審査基準には、公序良俗違反に該当する商標の例が記載されていますが、以下のようなものが該当します。
■ 商標の構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるようなもの
■ 他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されているもの
■ 出願の経緯に社会的相当性を欠く事情がある場合(例:不正の目的での出願)
 

 商品名やサービス名を決めるときに、明かに非道徳的で他人に不快な印象を与えるようなネーミングを採択することは通常ないため、自社の商標が公序良俗違反に該当する可能性は低いと考えがちです。
 しかし、以下のような事例では、公序良俗違反と判断され、登録が認められませんでした。

2.公序良俗違反とされた商標事例
(1)「感染予防管理士」(出願番号:商願2020-072590)
 本件では、「感染予防管理士」という商標が出願されましたが、特許庁は以下のような理由により拒絶しました。

 「感染予防管理士」の文字からなる本願商標をその指定役務に使用したときは、あたかも国家資格を表す名称の一つであるかのように需要者に誤認を生じさせるおそれがあります。そのため、商標として登録、使用することは、取引秩序を乱すおそれがあり、社会公共の利益に反するものと認められます。

 

 

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執筆者について

鈴木 徳子

経歴

ブランシェ国際知的財産事務所 共同代表弁理士。
代々医師の家系に生まれ医学書に囲まれた生活を送ったが、医師にはならずに文系の道を進み知的財産の専門家になった。一橋大学経済学部卒業。現ウォルト・ディズニー・ジャパンでキャラクターのブランディングを担当し、商品化権(著作権や商標権など)に基づくライセンスビジネスに携わる。ディズニー時代に初めて、「知的財産権」という言葉に出合い、その重要性を実感し弁理士になる。その後、外国知的財産サービス会社で大手日本企業(医薬品、化粧品、素材系メーカーなど)の全世界120か国における商標権取得、企業合併に伴う権利移転手続や侵害対応などに携わる。2015年3月事務所開設。大学や各種セミナーで講師も務める。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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